「とにかく大きな仕事がしたい」と思っていたけれど・・・実際に「大きな仕事」をして見えてきた仕事の本質。
就職活動のとき、採用面接でそう答えていた。
何も知らないのによくそんな一丁前なことを言っていたなと今になって思うが、今の会社は私のこの主張を認めてくれた。
プラントエンジニアリングの会社に入り、はや一年。聞き馴染みがないかもしれないが、プラントというのは生産設備や公共インフラのような大規模な人工構造物の総称で、それらをお客さんとなる企業の要望を満たすように設計し、実際に建設して引き渡すところまでを主な生業とする業界である。イメージ的には、銀色の管がごちゃごちゃと張り巡らされた、海沿いとかによくある工場、あれを作っている。
プラントは石油やガスなどの化石燃料、銅などの鉱物、エチレンやパラキシレンなどの化学品に関わる設備であることが多い。科学の力で成り立っている私たち現代人の生活の根底には、必ず何かしらのプラントがあるといってよい。それは必要不可欠なインフラであり、日本に限らず世界中の人々の生活を陰ながら支えている存在なのだ。
就活生の頃は、「とにかく大きな仕事がしたい」という漠然とした希望を抱いていた。地図に残る仕事、世界を股にかける仕事、経済にインパクトを与える仕事・・・そういう意味では、プラント業界は自分にぴったりの舞台だと思う。
だが、作りたいものを好き勝手に作るのでは当然ながら仕事にならない。自分たちがどれほど素晴らしい技術を開発したと思っても、素晴らしいプラントの設計を思いついたと思っても、それは独りよがりかもしれない。むしろその可能性の方が高いだろう。
お客さんが欲しい性能のプラントを納期までにバッチリ完成させて引き渡す、これが私たちのやるべき仕事だ。そしてお客さんがそのプラントを運転することで、エネルギーや化学材料が世の中に供給される。さらにそれらを利用して無数の商品やサービスが社会の隅々まで提供されていき、人々が幸せを感じる。
そうやって世の中のあらゆるビジネスはどこかで必ずつながり合っていて、みんなで協力してよりよい社会を目指しているのかもしれない。だとしたら、どんな仕事も「人を幸せにする」という究極の目標を共有していて、そのやり方が違うだけではないのか。誰のことも幸せにしないなら誰からもお金がもらえないから、そんな仕事は生まれない。
就活生の頃の自分は、
という自分の欲(自己実現欲求というのだろうか)を軸に仕事について考えていた。もちろん、好きな仕事に就ければモチベーション高く働くことができるし、それによって人生は豊かなものになるだろうから、このような考え方は非常に重要である。
だが、もう一つ忘れてはならない考え方があると、最近は思うようになった。それは、
ということだ。
就職活動をしていると「自分の強みは何か」と問われることが多い。これは今改めて考えると、
「自分の強みを活かした仕事をすることが、自分が成し遂げうる最大の社会貢献となり、それによって最も多くの人を幸せにできる」
という意味だったのだと思う。自己実現と自身の幸せのためだけでなく、社会全体、より大げさに言えば人類全体の幸せの量を最大化するために、「自分の強み」を見つけて、それを高めていく責任があるのだ。
社会人生活は2年目に入った。本当にあっという間の1年だった。これからの5年、10年、20年が今まで以上の速さで過ぎ去ってしまうことを予感させられる。
長いようでそうでもなさそうな人生の間に、どれだけの人を幸せにできるのか。プラントエンジニアリングというのは、直接的に誰かにお礼を感謝されることは少ない仕事かもしれない。事務職で基本オフィスワークの私は尚更である。それでも、自分の仕事は自分を幸せにするだけでなく、誰かを幸せにするためにやっているのだ、ということを、ともすれば忘れがちなこのことを、忘れないように歩んでいきたい。
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