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チガサキ⊿ライフ035 : スーツ (Part1)

1. 衣替え

 クールビズが終わる9月末、慌ただしくスーツを新規購入した。そう、太りすぎで着られるスーツが無くなったのである。学生時代より、スーツの購入方法は一貫していた。夏と冬のバーゲン時に、カジュアル路線の手頃価格ブランドスーツのバーゲン品のみを購入していた。具体的に、ポールスミスのRニューボルド、タケオキクチの等である。ロンドン駐在前には少しきつくはなっていたが、特に問題は無かった。しかし、遂に完全に着用不可となり、既存のスーツはすべて処分した。

2. ショッピングモール

 「若者じゃないんだから、洋服の青山に行き。」と言う妻の嫌味には耳を傾けず、ショッピングモールに行った。煩い妻はコンタクトレンズを買いに言ったので、娘と息子を連れてのスーツ選びである。ぐるりとモールを一周して店を見て回ったが、私の入るスーツを売っていそうなのは唯一“オリヒカ”と言う店だけだった。

3. 試着

 店員の女性が可愛いかった事もあり、喜んで体のサイズを測ってもらった。急激に太ってスーツが入らないと、聞かれてないのに店員に説明しながら測ってもらった胴回りは、なんと87cmとハイスコアーをたたき出した。店が取り扱っている最大の胴サイズは85cmであり、それをも超えてしまっている。ノータックのズボンを最初に試着したが、太ももから上がパッツンパッツンであった。子供に似合っているか聞くと、二人で「似合ってない!」、「ブタ!」など言いたい放題で、ピーコのファッションチェックより辛口評論だった。続いて、ゆったり目のタック入りズボンを数点履き替えた。試着室に出たり入ったりしながら騒ぐ子供と、ピチピチのズボンを繰り返し試着する父親に、さすがに店員の営業スマイルの裏にも困った表情が垣間見られた。最終的にゆったりしたサイズをお直しで更に4cm広くする特別仕様で、同じタイプのスーツを色違い3 set購入した。店を出る際に、冗談を交えて、「これ以上太ったらもうスーツ無いですよねえ。」と尋ねると、「まだまだ大丈夫ですよ。」と店を送り出してくれた女性店員の表情は、好感の持てるさわやかな笑顔であったが、明らかにさわやかな失笑だった。

#ファッションが好き

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