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4月:上昇する熱を爽やかに乗り越えるハーブレシピの作り方〜暮らし編

4月後半。週末の雨が通り過ぎたらあっという間に夏日が到来しました。これから5月いっぱいは薫風が吹きまだまだ過ごしやすい季節ですが、気温は着実に上昇し、紫外線は1年で最も強い季節がやってきます。

気温が上昇するにつれて体内にこもる熱はアーユルヴェーダのドーシャ(体質)でいうとpitta(消化・変換の火の力)。もともとpittaが優勢でなくても体の中に少なからずあるpittaが増えて、焚き火の火が燃え上がります。

夏の間に食欲が低下したり、疲れやすくなったり、逆にイライラしたり、お酒やお肉などの刺激物を欲してしまうなあという感じがあったら、pittaを増やしすぎているのかもしれません。

今回は、初夏を感じる今の季節から、熱を必要以上に溜め込まない暮らし方・料理についてお伝えしていきます。

温活至上主義が正義じゃない

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日本は基本的に「温めていれば健康」という考え方が出回りすぎている気がします。
実際に、冷え性の方は多く、冷えは万病の元ではあるのですが、一方で「のぼせ」や「ホットフラッシュ」「手足は温かいのに内臓は冷えている」など熱が部分集中して困っている方は多いです。熱の部分集中でなくても、全身暑く、その熱を持て余している人だっています(私です)

冷えが痛みや不安として現れるとしたら、こもり熱は炎症や激情として症状を現します。炎症というのは、
・下痢、消化不良、食あたり
・逆流性食道炎
・充血
・口内炎
・赤く痛みと膿を伴ったニキビ、皮膚炎
など実は様々なものがあります。
口内炎や充血は習慣になっている人も多いので意識していないかもしれないですが、これも立派な口内の炎症、眼の炎症です。

激情は怒り、イライラ、刺激的なものを欲する心です。職場の人やパートナー、家族に対してイライラが抑えきれず、つい当たってしまう気持ちを持て余す時、それは心が炎症を起こしています。自分の中の火が燃えすぎて、必要以上の熱がこもり、それを上手に発散することができず怒りとなって現れることがあるのです。

また、熱がこもり、自分の中の火が必要以上に大きくなると、焚き火が燃え上がり「もっとガソリン持ってきて!」という状態になるのと同じで、異常に食欲が増えます。その結果、若い頃はよくても、代謝が落ちる中年以降に急に体重が増加し悩むことがあるのです。これはkapha憎悪が原因の肥満ではなく、自ら焚き火に薪をくべすぎて、火が大きくなった結果のpitta原因の肥満です。

温活も良いのですが、体質や季節によっては適度に熱を冷ますことも大切なんですね。

「冷やす」と「冷ます」は別物

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熱を冷ますといっても、消化の火を消してしまうわけにはいかないのが熱のリリースの難しさです。暑いからといって、かき氷を食べたり、自販機で買った飲み物や冷蔵庫から出したてのキンキンに冷えた飲み物は火を消してしまいます。

消化の火(”アグニ”と呼びます)はアーユルヴェーダの健康において最も大事なもの。大きく燃やしすぎてもいけませんが、小さくしすぎて不安定になったり、ましてや消してしまってはまた燃やすのに大変な時間がかかります。消火の火は、日々適量の温かい食事を摂って、運動をして代謝をすることで保たれますが、毎日の小さな努力でやっと保ったものも、焚き火に水をかけたら簡単に消えてしまうみたいに、消すのはあっという間なのです。

覚えておきたいのは「冷やす」と「冷ます」は別物だということ。毎日こもる熱をリリースするには、熱々のお鍋を鍋敷の上において、ゆっくり冷ますような感覚で下げていくようにしましょう。

上昇する熱を爽やかに乗り越えるハーブレシピの作り方①消化力を下げずに、熱を冷ます「味」を知る

熱を冷ますには、ドーシャごとに関連する「ドーシャを増やす味」「ドーシャを鎮静する味」を覚えておくと一つのヒントになります。

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テキストでのお話と、料理のレモンストデーションの動画(*動画は2020年4月以降)の両方があって、見ながら実際に食事を作って楽しめるところがポイント。

eatreat.で月に1度開催する料理教室のオンライン版。「胃腸を休めるレシピの作り方」などテーマに沿って生活と食事のレシピを動画付きでお…

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