喪失体験から回復するにはどうすればいいか
前回、自死遺族についての記事を書きました。
(読んで頂いた方、スキをつけて頂いたすべての方に感謝です🙇♀️💓)
あれから、同じような経験をした方々のnoteを読んでいろいろと考えるところがあったので、今回はその補足の記事を書きます。
そもそも、人は生きていると喪失経験が必ずあります。
身近な人や存在を亡くした経験だったり、
身近な人や存在ではなくても、引きこもっていたことで若くて健康だった自分を失ってしまったり、
また、何かに染まる前のまだ醜さやズルさを知らないピュアな自分を失ってしまったり。
アダルトチルドレンを言い換えると、愛されることに何の疑いも持たなかった自分の喪失体験、とも言えます。
生きていると、大事な人や存在との別れは避けられません。
また、年を取るにつれて過去の自分とも別れなければなりません。
その喪失感を乗り越えるためには、一体どうすればいいのか。
私は前回の記事を書いてから、少しずつ自分の中に変化が起こり始めていることに気づきました。
12年前に亡くなった姉のことを未だに背負っていましたが、そのすべてを手放すということ。
姉の人生を背負っていた自分も、姉を救えなかった自分も、すべて許すということ。
姉が亡くなったことで生じたすべての感情を受け止め、許し、そして手放していいということ。
noteに書いたことで頭の中で整理ができ、肩の荷が下りて軽くなったような感覚がしています。
そんな中で、つい最近
“姉がいなくて寂しい”
という感情に襲われ、涙が突然出てくる現象に出くわしました。
それまでお笑い動画を見て笑っていたのに、さぁ寝ようかと布団に入り電気を消して目をつむった瞬間に、
姉を亡くしたことで感じた寂しさがワーッと押し寄せてきて胸が苦しくなり、気づいたら涙が流れていました。
それまでは、姉が夢に出てきて涙が出ることはあっても、意識があるときに涙が出ることはなかったので、正直驚きました。
そこで、喪失体験で重要なのは、“寂しいと感じること”だと気づきました。
姉が亡くなったとき、駆け付けた父は母を責め始め、両親は言い争いをしていました。
その様子を見て私は、“この人たちは頼りにならない”と感じ、そこから“寂しいと感じること”を封印してしまったように感じます。
当時の私は、亡くなった後でその人のことをあれこれ考えても、それはすべて身勝手でセンチメンタルな行為にすぎず、
故人を悼むことにはならないと感じていました。
私は、申し訳なさから姉の死に対して生じた感情はすべて無責任で利己的だと感じ、まるでスイッチを切ったように封印していました。
今思えば、寂しいという感情をまともに感じる余裕が当時はなかったのかもしれません。
寂しさを感じても故人は帰ってきません。寂しいという感情を味わうことで、余計に残酷な現実を思い知らされ、打ちのめされてしまうかもしれません。
ただ、寂しいという感情をきちんと認め味わいきってあげないと、私たちはいつまでたっても喪失体験から回復することはできません。
どんな事情があるにせよ、湧き上がってきた寂しいという当たり前の感情をきちんと認めてあげて、自分の中で感じ切る必要があります。
寂しいと感じていいんです。
いくら心の中で罪悪感があろうと喪失感に打ちのめされようと、まずは寂しいという感情を大事にしてあげなければなりません。
寂しいと感じ切るとどうなるか。
自分を責めることが少なくなります。
自分を責めてばかりいた時とはまた違った角度で、喪失体験を見つめなおすことができます。
私の姉は自死によって命を絶ちました。
けれど、それは裏を返せば、死にたいほど生きたかったということです。
“自殺する人は生きようとして死を選ぶ”と以前の記事にも書きましたが、
たとえ結果が“死”だとしても、姉は生きようとしていた事実がそこにはちゃんと存在しているのです。
昨日は希望に満ち溢れていた人が今日は絶望的な気分になり、反対に、昨日死のうとしていた人が今日は希望を見出すこともあります。
死ぬことが決まっている人は一人もおらず、そのときのタイミングとほんのちょっとの気持ちの変化で、生きるか死ぬかが変わります。
そんな中で、結果的に姉は亡くなってしまった。
ただそれは、死にたくて死んだわけではなく、死にたい気持ちになるほど生きたいと思っていたから。
生きたいと思って、生きようと思って奮闘していたにすぎないから。
だから、死んだことにたいしてあれこれ考えていても意味がないのです。
それは、亡くなった人が本当に見せたかった姿ではないのだから。
だから、あなたがもし何か喪失体験があって罪の意識や自分を責めたい気持ちがあったら、そのすべてを手放してください。
結果にばかり注目せずに、まずはあなたの中に生じるすべての感情を認めてあげてください。
寂しいと感じることを許してあげて、またその感情をきちんと感じ切ってあげてください。
その上で、喪失体験をまた違った角度から見ることを自分の中で認め、許してあげてください。
自分を幸せすること以上に尊いことはこの世に存在していません。
自分を責めてもまわりの人に必ず悪影響が出てしまい、結局誰も幸せにはなりません。
どうか、まずはあなた自身を幸せにすることを考えてください。
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