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癒しと学び④ 癒しとは全体性を取り戻すこと

healという言葉は、何かを「癒す」または「癒える」という意味の言葉です。後者は自動詞で、自ら癒えていくというニュアンスです。前回の記事でホリスティックの語源のお話をしました。もう一度、貼り付けておきます。

日本ホリスティック医学協会のHPより
「ホリスティック(Holistic)という言葉は、ギリシャ語で「全体性」を意味する「ホロス(holos)」を語源としています。 そこから派生した言葉には、whole(全体)、heal(癒す)、health(健康)、holy(聖なる)…などがあり、健康-health-という言葉自体が、もともと「全体」に根ざしています」

本来、人が癒えていくのは、「自ら」癒えることと言ってもよいでしょう。薬など、何か外的なものを使ったとしても、それに反応するのは人間自身ですから。

そして、healとは自分の全体性(whole)に戻っていくことでもあります。自分が自分であると認識しているものは、まだ全体のほんの一部にしかすぎないわけです。

いくら「ホリスティック」に「全体性」を捉えていると思っていても、それはまだまだ一部を見ているだけなのかもしれない・・・。今の自分の価値観を大切にするとともに、絶対視しないことも大切なことです。

以降、私のホリスティック観の変遷について、つまり、全体性の認識についての変化を振り返りたいと思います。

人間はボディ、マインド、スピリットの存在である

はじめにホリスティック医学の考え方に出逢った時には、「人間は肉体のみの存在ではなく、ボディ、マインド、スピリットの存在である」という捉え方になるほど、と思ったものです。

その時は、アロマセラピストのひよっことして活動を始めたあたりだったので、目下の命題は、「その人に適した精油をどうやって選んだらいいか?」でした。そのために、アーユルヴェーダを学び、体質気質から見ていくと良いのではないかという一つの答えが出てきました。

占星学の話はまだしていませんが、それを個人セッションにいれたというのも、その延長と言ってもよいのです。それはまた後程。

からだ、こころ、たましい。

この3つが揃ってホリスティックというアイディアにより、人間や世界の見方が広がりました。人間は肉体だけではないというのは、多くの人が感じていることで、「こころとからだ」というところまでは、最近では誰もが認めるところではないかと思います。

私がアロマセラピストをはじめたころは、バブル崩壊後、社会がストレスフルになってきたときだったので、心身の相関が認識されはじめ、心身医学に関心が集まり、1996年に心療内科が厚労省に認められた、という、まさに1996年にアロマセラピストになろうと決意したときは、そんな頃でした。

しかし「たましい」の存在に関しては、まだまだ、今でもあいまいなところではないかと思います。怪しいと思われることもあったりして。

その、魂の話もまた後で。

ホリスティック観の変遷~人間+自然とコミュニティ

アロマセラピストとして10年程度活動したころに、またふと疑問がわいて来ました。私は、アロマセラピーはストレスのケアにとても良いんじゃないかと思い、ストレスケアのためのアロマセラピーをやっていこうと決めて、様々な活動をしていました。自分のセッションルーム、そして心療内科や精神科が主な仕事の場所でした。

しかし、都会のマンションの一室、もしくは、心療内科併設の施設や精神科の病院などでアロマセラピーのセッションや指導を行う中、自然療法をやっているけれど、環境は全く自然じゃないし、自然のことはよくわかっていないよな、と思いはじめました。今思えば、環境が自然じゃないからこそ、そこで自然療法を実践し、自分と自然のつながりを思い出すきっかけにしていくのは大事な事なんですが。

もう一つ、この頃、アロマセラピストとしてクライアントさんに接する中で気づいたことがありました。一方で、それは、施術後、表情が明るくなり、とても軽くなったクライアントさんを見て、私もホッとします。そしてセルフケアの方法をお伝えして送り出すのですが、また2週間後にいらっしゃると、なんだか元に戻ってしまっているのです。もちろん、少しづつ良くなり、病院をご卒業する人もいるわけですが。

病の原因は様々ですが、自分の中にその種があるのではないかとまず考えます。生活習慣であるとか、ストレス性のものであれば、ものごとの受け止め方など。また、周囲からのサポートのあるなしも要因となります。

しかし、もしかして、これは個人に要因を集約させるのではなく、元に戻ってしまうような社会の在り方、会社組織などのパターンの要因が大きい場合も多いのではないか?ということを感じ始めました。

つまり、人間とはボディ・マインド・スピリットではなく、環境とのつながりの中で生きているので、先のホリスティックモデルの書き換えが必要だったのです。

注)病の原因は、この当時思っていた自分の考えよりも、さらに複雑で広い視点が必要です。それは魂的、エネルギー的な視点が必要になってきますので、それに関しては、また別な機会に述べたいと思います。

以下がその頃、自分でつくった概念図です。


これに気づいて以降は、自分の暮しを持続可能に変えるためにパーマカルチャーを学び、地域を持続可能にしていくためのトランジション・タウンの活動などをしてきました。

自分は孤立した存在ではなく周囲とつながっている

自然界についての学び、また、「コミュニティ」という人間がつくりあげる環境で起きることを実践的に学びました。コミュニティづくりの中では、プロセスワークに出会いました。グループの中で意見の対立などの葛藤が生じた時に、それぞれがどう感じているかを深く探っていき、対話をしていく時に有効な考え方で、ユング派の心理学者・アーノルド・ミンデルによりつくられたワークです。

これは、311の東日本大震災と原発事故の時に、現状をどう感じているかを本音で話すのに、とても役にたちました。ひとりひとりの中に起きる感情を大事にして進められるのが、プロセスワークのグループワークですが、その中で、ひとりひとりが自分の力を取り戻していく体験もしました。

ここで、自分の力を取り戻していくのは、自分自身でもありますが、人と人が理解しあうことで、もっと大きな力を取り戻せるということを実感したのでした。

「自分は孤立した存在ではなく、すべてとつながりあっている」

そうした感覚を自然界や地球に対しても、そして、社会に対しても持つことの大切さを実感します。その大切なつながりが大きく壊れている世界に私たちはいる中で、どうやって全体性を取り戻していくのか?それが今、目の前にある課題でもあります。

全体性とは、全体主義的な考え方とも違います。そのあたりは、魂についてお話しするときにできるかなと思います。

次回以降は、自然界とのつながり、そして自分の魂と他者とのつながりをとりあげたいと思います。あと何回で完結するかなぁ・・・。


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