ガラスの迷宮
14の時、母のコレクションのレコードにあった、竹宮惠子の、多分、ガラスの迷宮というアルバム。
ガラスの迷路、だったかも知れない。
(コレクターだったので、同時発売のカセットもあった)
とても好きで、聴き込んで、何曲かは未だに歌える。相当うろ覚えだけど。
母は、いわゆる花の24年組信仰が強く、趣味でなくてもその世代の漫画家の作品は集めていたが、竹宮惠子の作品は特別だったようで、50年前から、自分用、保存用、布教用を買うような人だった。
竹宮惠子が表紙を描いてるからって理由で、読みもしないJUNEを買い続けるような人だったからなー。
私も当然好きで、子供の頃から親しんだ。
ファラオの墓、アンドロメダストーリーズ、姫くずし、ロンド・カプリチオーソ、そばかすの少年、集まる日、イズァローン伝説、天馬の血族。
地球へ…、はあまり好きじゃない。私を月まで連れてって!も。
風木も好きじゃない。竹宮信仰深い母も、この作品だけはダメだったようで、集めはしたが読んではなかったようだ。
好きな作品はたくさんあるが、母の蔵書から持ち出して、そっと大切にしているのは、変奏曲。
子供の頃は、同じエピソードが繰り返される演出が意味がわからなく、ちょっと苦手だったのだけど。
実家ではこういうハードカバーのマンガはありきたりであったのだが、北はうちで初めて見たそうで、大変不思議がっていた。
今はあんまりないのかな。
まあ、うちの母は原画集とかも集めてたし、単行本、愛蔵本、文庫本、ととにかくコレクションしたがる人なので、普通ではないのかも。
変奏曲は、子供の頃は、やはり、わかりやすく美しく激情的なエドナンが好きだったけど、長じて、静的に見えるが、芯が熱く、決して己を曲げないウォルフに感情移入して、今はアダムスが一番好きだな。
人生の全てを差し出すほど、価値のあるものに出会えたのだ。
続編のカノンも好きだ。
ウォルフとエドナンの子供が主役で、天才ウォルフを完璧に模写する人生を選ばされたアレンと、激情家の父の理想通りになれないことに負い目を抱き、家を飛び出すニーノ。
変奏曲から、ずっとウォルフやエドナンの理解者であったボブが、ニーノの月下美人のような儚い才能を、どう芽生えさせるのか、ニーノの過去は?アレンはどうするのか?とさまざまな謎を残して終わった物語。
読んだのは10代で、続きがあると思っていてけれど、いや、もしかしたら調べたら続きがあるのかもしれないけれど、この物語は、この終わり方でこそ素晴らしいと思える。
JUNE誌に掲載された、ウォルフとボブの、秘密の一夜の話は、どこかの単行本に収録されているのだろうか。
今となっては、あれは蛇足と感じるけれど、やはり、竹宮惠子、忘れ難いストーリーテーラーだな。