日本の夏は中元の夏か?
お中元
私はひっそり、主に実家の経理を仕事をしている在宅ワーカーだから、「お中元」というものから遠ざかって久しいが、今も季節になるとあらわれる、仰々しい売り場は作られているのだろうか。
最近、見かけない気がする。
まあ、Amazonでも楽天でもLINEギフトでも、家にいながらそのような商品は贈れる時代。
そうして、私の興味のあるもにしか目につかない特殊な目は、設置してある売り場を通りこして違うものを見ているのかもしれない。
実家は、弟も、弟の父であるひとも、それぞれ自営業を営んでいるので、この時期は色々贈られてくるらしい。
単発の付き合いでなく、長い取引先ばかりなのに、どうして毎年こんな贈り物を下さるのだろう、と思わなくもないが、「お値段」と「見栄え」は大切だから、こうなるのか。
ビール、ハイボールなど
実家にお届け物があると、母が私にも分けてくれるが、去年からもらうのを断っているものがある。
ビール、缶酎ハイ、ハイボールなどだ。
ビールのセットは昔からお中元コーナーでよく見かけていたし、実家には成人した男がふたりいるから無難と思われているのかもしれない。
しかし、弟の父であるひとは今年で81歳、まだ現役であるが、10年ほど前、大腸癌になっってからお酒を受け付けなくなったそうだ。
弟はもとから飲まない。
母も飲まないので、当然「酒飲み」と思われている私に譲ろうとするのだけど、私は好きな酒しか飲みたくない。
一時、酔えればいいと思って何でも飲んでいた時期もあったりはしたが、苦い酒は嫌いだ。
一部の日本酒と、ワインなら飲めるのだが、それは母が調理酒に使うそうなのでおこぼれにありついたことはない。
結局、母の弟、ようするに叔父に譲っているそうだ。
叔父は長年高血圧を患っていて、でも通院せず、仕事中に高血圧の為倒れた時しか病院にいかない愚か者なので、母は叔父に酒を譲るのをためらっていたが、叔父は喜んでもらうのだろうし、20年前から、私は叔父の葬儀には出ないからとなにかあっても伝えてこないで、と申し渡してあるので、どうなってもいい。
缶詰
これも、母が私に一部を譲ってくれるものなのだが、困惑する。
お中元で頂くものだから、ツナや鯖の水煮、トマト缶であるわけでない。
タンシチューや、高級地鶏の焼き鳥、タラバガニのゆでたの、というのはどういう時に食べるのがいいのか。
シチューと言っても、しょせん缶詰。
普通の一食にはならない。
地鶏の焼き鳥や真鯛の塩焼き、というのも、飲み屋に囲まれていつでも「出来たて」食べに行ける私にはありがたみがない。
タラバガニ。
母は忘れているようだが、私はカニを好まないので、「弟の好物」だからと返す。
「家にもまだあるのよ」
すぐに腐るものでもないし、置いておけ。
北も、珍しがって食べてくれることもあるけれど、「君の非常食にしなよ」と手伝ってくれない。
缶詰はしょっぱくて私の口には合わないのだ。
まあ、今こそ食べるべきなのだろうが…
ゼリーや水羊羹の詰め合わせ
涼しげなゼリーや水羊羹の詰め合わせわは、夏の贈り物の定番であると思う。
冷やして食べるゼリーや水羊羹は、夏バテで食欲を無くしている私でも食べれる。
私がお中元を手配する立場だった時も、選ぶのはこのタイプだった。
種類も豊富で、常温保管が出来、分けやすくて消え物である。
そう。
だからこのタイプのものは、実家に贈られても私のもとの届くことはない。
やはり、夏に弱い母や、甘い物が好きな弟の父がせっせと消費しているのだろう。
贈る相手先によっては、ちいさな缶のジュースセットを贈ることもあったし、多分実家にも届くのだろうが、やはりわが家にはやってこない。
現場仕事が多い弟の職場の従業員たちへの差し入れにしているようだから、それはかまわない。
しかし、それなら缶詰やビールもそちらに…と、思わなくもない。
プレゼント
贈り物というのは意外と面倒だ。
私はとても親しい間柄の友人間の誕生日や、クリスマスプレゼントのやりとりをやめて久しいが、好みを知っている相手への贈り物すら大変なのに、仕事上の付き合い程度のひとへの贈り物はさらに大変だろう。
友達に、抜群にプレゼントのセンスがよくて、「あたり」のお土産しか買ってこない男の子(という年でもなくなったか)がいる。
私たちは4人グループなのだが、それぞれに、価格帯は同じで違うものをきちんと選んで贈ってくれる。
私はクッキーが苦手なのだが、ラングドシャは好きで、それを話したこともないのに、ヨックモックのシガールをもらったときは驚いた。
親友にはキャラメルやメープルシロップ味の焼き菓子。
北には珍味セット(酒を飲まないのに最近こういうのにはまっている)。
どうしてこんなに好みがわかるのか?と聞いたけれど
「なんとなく」
としか、返ってこなかった。
地元を離れて、一番会う機会が減ってしまった友達だが、地元に残った私たち3人が集まる度に、この店のこのメニューはあの子が好きそう、や、この景色はカメラ好きの彼は喜びそうなど話すように、ひとりで、私たちの喜ぶ顔を考えながら、選んでくれているのだろう。
なにか私もよいお返しがしたいのだけど、「私の手料理でいいよ」と言われてしまう。
また、親友が大のチーズ好きで、わが家ではチーズたっぷりのピザや、チーズフォンデュをよく出していたのだが、
「実はチーズはそんなに好きでなくて」
と、17年越しの告白をされたばかりだ。
親友は、「次みんながそろったときはチーズフォンデュで」と言っているし、彼は、
「それでいいよ」
と言うのだろうが…
せめて、彼の好きなホタテやエビ、カニ(どうやる?)など揃えるか。
贈り物は、もらうのもあげるのも、悩ましい。