「君を離さない」 #シロクマ文芸部 【自己お題シリーズ】
最後の日君を抱いた
誰にも見せない儚い
唇の色も褪せていく
そんなやるせない夜
ただ抱きしめ合って
幼いころからふたり
いつも一緒にいたね
君は負けん気の瞳で
僕をいつも追い越す
明るい眩しい笑顔を
まだ忘れられないよ
いつからだろう君が
僕と距離を取り出す
幼なじみのさなぎを
脱ぎ捨てた君はもう
僕の知らない人へと
時が過ぎ僕の住む町
そこで君と再会した
向日葵のようだった
笑顔は消えてまるで
ひっそり一夜で散る
月の花のように脆い
妻も子供も捨てたよ
君を選んだ僕は愚か
知っているだけれど
好きだったんだろう
忘れたふりした初恋
胸の奥でくすぶって
消せない熾火のよう
くだらない思いだと
笑われてもいいんだ
浅い眠りで腕で眠る
君のやつれた横顔を
狂おしく見つめてる
額に消えない傷跡が
そして肩には火傷が
痛々しく残っている
何も語らないけれど
僕は知ってしまった
あの雪の街で起きた
事件と消えた女の話
小さな嘘も覚えたね
君は今、怒る仕草も
違うなにもかももう
罪の重さも秘密全て
分かち合ってそして
世界から隠れるよう
生きていけたのなら
僕を見上げた白い顔
もう一度口づけした
サイドテーブルには
安ワインがはいった
カップが並んでいる
君が僕のカップだけ
白い粉を入れたのを
気がつかないふりで
君を抱きしめるただ
まるで向日葵のよう
あの笑顔がよぎって
僕を切なくさせるよ
まるで月の花の影に
隠れた吸血虫みたい
妖しく微笑む君の顔
君の毒に僕は溺れた
妻も子供を捨てても
君だけが僕のすべて
ワインに手を伸ばす
僕を君が異常に光る
目で見つめているね
負けん気の君が僕を
追い越し笑っていた
あの日を僕はきっと
ずっと覚えているよ
この最後の日に誓う
君をずっと離さない
この肉体が消えても
【自己お題】
TM NETWORK
Time Passed Me Byの歌詞を使って