1型糖尿病のわたしが、おいしくサバランを食べる方法。
どうも小野えあです。
突然ですが、好きな食べ物の話でもしようかと思います。
サヴァラン。私の大好きなスイーツ。
知らない方はWikipediaの概要を読みましょう。
ちなみに私は、お酒の香りが残った、フルーツたっぷりの、シロップびったびたなサヴァランが好きです。
「1型糖尿病のわたしが
サヴァランをおいしく食べる方法」
いやまあそんなの簡単ですよ、多少こえなきゃいけないハードルはありますがね。
私にはお気に入りのケーキ屋さんがあって、そこのサヴァランは絶品です。
でもそのケーキ屋さんは人気店ですしサヴァランは人気メニュー。
突然思い立って買いに行っても、結構な確率で売り切れています。
だからまずは
① 前日のうちにケーキ屋さんに電話をして、サヴァランを予約しておく
必要があります。それから翌日、
② サヴァランを買って帰ってくる
③ 紅茶を入れる
④ 食べる
⑤ おいしい
はい完璧です。これで糖尿病とか関係なく、だれでもおいしいサヴァランが食べられますね。
なんて有意義なnote!!!!!
怒らないでください。
……まあ間違いはないんです。
でも、実際これしかしないと私の場合、血糖値はこんな感じになります(イメージ画像)。
乗るしかないこのビッグウェーブに。
こんな感じの時私はだるくてしんどくて喉渇くて吐き気を催します。これじゃあ全然おいしくない。
サヴァランはおいしいけれど、食べたあともおいしい気持ちを堪能したい。
私の場合、そのためにはインスリンを打たなければなりません。
インスリンは血液内に取り込まれた糖質を体内に取り込むためのホルモンであって、私はそのインスリンを出す能力が全くないからです。
だから私はなにを食べる時も、ご飯のタイミングじゃなくても、インスリンのことを考えてインスリンを打たなければならないのです。
で。何単位打てばいいんでしょうか?
これが非常に難しい。
いわゆる三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)のうち主に食後の血糖上昇に関わるのは炭水化物のなかでも「糖質」と言われています。
カロリースリムというサイトによれば、サバランの糖質量は1個あたり30g程度のようです。
この「食品中に含まれる糖質量」を処理するために必要なインスリン量を計算して打つのが「応用カーボカウント」と呼ばれる方法です。
簡単に解説していきましょう。
まずカーボカウントを行うためには、以下のいずれかの数字を設定する必要があります。
1単位のインスリンで何gの糖質を処理できるか(糖質インスリン比)
または
1カーボ(糖質10gを1カーボと定義します)を食べるのに何単位のインスリンが必要か(インスリンカーボ比)
私の場合、糖質インスリン比だと10、インスリンカーボ比だと1.0くらいです。
これに基づくと、今回打つべきインスリン量は
糖質量(g)÷ 糖質インスリン比
= 30 ÷ 10
= 3
ないし
カーボ数 × インスリンカーボ比
= 3 × 1.0
= 3
となります。
3単位打てばよさそうです。
ちなみに、個人的には手計算でやるなら掛け算(インスリンカーボ比)の方が楽ちんで好きです。
実際に応用カーボカウントを行う場合は糖質量だけでなく血糖値も考慮する必要があります。
余裕のある方は下記で説明していますので、線の内側も読んでみてください。
※ カーボカウントにおいては上記の「糖質に対するインスリン」に加えて、「血糖値を補正するためのインスリン」を打つのが基本です。
サバランを食べる前の血糖値が280で(そもそもそんな時に食べるべきではないけれど)、糖質分のインスリンだけを適切に打つと、食後の血糖値は280になります。
ちょっと高くないですか?せっかく打つならもう少しちょうどよくしたいですよね。
血糖値をちょうどいいところに落ち着かせるために補正インスリンを打つのですが、この時必要な数字として、1単位でいくつ血糖値が下がるか(インスリン効果値)があります。
私のインスリン効果値はだいたい70くらいなので、2.5単位打つと
280 - (70 × 2.5) = 105
と、だいたいちょうどいいところに落ち着きそうです。
この場合、糖質に対するインスリンに加えて、5.5単位打てばちょうどよさそうですね。
これらの数値の設定方法には色々言われてるものがありますが、今回は黒田式をご紹介しますね。
① 適切な栄養バランスの食事を3食とった日の1日使用総インスリン量を計算する。インスリンポンプ療法であればそのまま、注射の場合はこの総量に0.87をかける。
※ 下記、ここで出た数字をTDDと呼んでいきます。
② 朝の糖質インスリン比は300を、昼・夕は400をTDDで割ったもの。
(糖質インスリン比とインスリンカーボ比はどちらかからどちらかを計算できるので、もしインスリンカーボ比に変更したい場合は10を糖質インスリン比で割ればよいです。)
ちなみにインスリン効果値は1700 ÷ TDDです。
これを暫定としますが、実際使ってみないと合ってるかどうかわからないので、まずは設定して使ってみるしかありません。
とはいえ、そんな細かい数字正直な話注射で使うのはなかなか難しいですよね。
現実的には糖質インスリン比10ないしインスリンカーボ比1.0かつインスリン効果値50
もしくは糖質インスリン比20ないしインスリンカーボ比0.5かつインスリン効果値100
のうち近い方を使ってもらってます。その上で適宜修正も。
わかりやすくしたところでその都度の計算は面倒くさいので、なんかアプリとかないかな?!と思っていたのですが、患者さんより素敵なアプリを教えていただきました。
日本語対応・無料です。
会員登録とか色々不要で、下部メニューの「食事」から「カーボカウント計算アシスト」に進み、「目標血糖値」「糖質インスリン比(インスリンカーボ比への切り替えも可能)」「インスリン効果値」を入力して
※上記の設定値は再入力しなくても残ります
「現在の血糖値」「糖質量」を入力して「C計算」ボタンを押せば打つべき単位数が示されるのです。
ちなみに初期設定は四捨五入ですが、切り捨てやそのまま表示も選べます。すごい。
ちなみにインスリンポンプであれば、あらかじめ設定値を入力しておけばポンプが血糖値、糖質量を入力することで打つべき単位数を計算してくれます。
さて、長くなりました。
それでは血糖値も120といい感じですし3単位打って、おいしくサヴァランを食べましょう。
難しい計算もしたし、完璧なはず!!!!
んなわけあるか、と。
まずはですね、サヴァランのレシピなんてケーキ屋さんごとに違いますから。
大きさも、シロップの濃さや量も果物の種類もクリームの甘さも、みんな違ってみんないいんです。糖質量30gなんて平均値でしかないのです。
だからなんとなくの大きさやら見た目から予想して、30なのか、25なのか、40なのか、適当に決めます。
低血糖になると萎えぽよなので若干少なめに見積った方が安心かもしれません。
更に、サヴァランにはクリームが乗っています。アルコール分も含まれることがあります。
「糖質」がすべてではないのです。
血糖値を直接上昇させるのは糖質だけなのですが、脂質やタンパク質もエネルギー源ですから、糖質よりもゆるやかーに血糖値に影響を及ぼします。
もういっちょ、体調や運動量でインスリンの効きやすさが変わります。効きにくければ増量が、効きやすければ減量が必要になります。
だから同じサヴァランを同じ時間にまた食べても、前回うまくいった風にインスリンを打っても、同じようにうまくいくとは限らないのです。
それでも繰り返していけばだんだんわかっていくはずなので、うまくいかなかったら原因を考えてまた次に活かしていけばいいと思います。
失敗は成功のもとだもの。
さて。話は変わりますが、糖尿病の診療は進化を続けています。
最新のトピックといえば、やはりminined 770G、「ハイブリッドクローズドループ」で、これは基礎インスリンを勝手に変化させてくれる(止めるのではなく増やすこともできる、ベーサルインスリンやインスリン効果値をポンプが決めてくれる)スグレモノです。
でも、これを使いこなすためにはカーボカウントが必須です。
上のような計算はポンプがやってくれますが、糖質量はその都度自分で調べたり、考えたりする必要があります。
いい時代になりました。調べれば大抵の食品の糖質量はわかるし、市販の食べ物には栄養成分表示の記載があります。
打つべきインスリン量を計算してくれるポンプやアプリもあります。
サヴァランは、どんどん美味しく食べやすくなってきているのです。
でも簡単じゃない。
まだまだ、たくさんたくさん、超えなければいけないハードルや考えなければならないことがあります。
だから「インスリン注射さえしてれば普通に生きられる」なんて適当に言わないでほしいですよ(*´・ω・)(・ω・`*)ネー
長くなりましたが最後に、以前作ったカーボカウントのまとめツイートを置いておきますね。
参考になってくれたら嬉しいです。
今は全国的に食欲の秋。
皆さんが、この記事を活用して食べたいものを少しでも、いまより美味しく食べられるようになったらとっても嬉しいな。
なんてことを思うなど。
どうも、えあでした。