【中編】コロナ禍に大学を休学した話~予備校で藝大対策の夏季講習会に参加する~
こんにちは!
関西の大学で日本画を専攻している絵描きのきもとです。
前回は私がコロナ禍に大学を1年間休学したときの話から【前編】として「住み込みバイト」について取り上げました。
引き続き、私がコロナ禍に大学を1年間休学したときの話をテーマに記事を執筆いたしました。
休学するに至る経緯や当時の体験談を【前編】【中編】【後編】の3部に分けてお伝えしていきます。
本稿では【中編】の内容を取り扱います。
目次を参考に気になる項目からご覧ください。
芸術大学在学期間に休学して美術予備校に通う
休学に至る経緯
私は高校3年の春から約1年間大学受験対策を目的に画塾に通い、大学2年と3年の間の休学期間中の夏には技術向上を目的に美術予備校へ通っていました。
画塾のおかげで絵を楽しんで学び始めることができましたが、当時は受験の合格ラインに到達することがやっとでそれ以上の力を身に付けることをしませんでした。
大学に入学して課題制作に取り組むなかで、自分の描きたいイメージに筆を持っていくことができない瞬間が度々訪れる状態に悩まされます。遅れながら絵の「描き方」が分からないという問題に直面したのです。
絵具など画材の使い方が分からないというのであれば大学での制作を通じて解決できる内容ですが、「描き方」ないしは「ものの見方」という基本中の基本にあたる部分で躓いてしまいました。
これは私にとっては数日やそこらで解決できる問題ではなく、改善するまでに消化する課題数と時間を思えばいっその事1度基礎を見直すことに注力する期間を設ける方が建設的だと思いました。
加えて同時期、コロナ禍により一部授業が満足に実施できない状況が続いたことによりこの選択に踏み切った次第です。
以上が私の休学に至る経緯でした。
学びの手段として予備校の夏季講習を選択した理由
予備校で夏季講習を受けようと決めた理由は上記とは別に何点かあります。
上記の通り、費用問題と飽き性と感化されやすさのトリプルパンチによって生まれた予備校の夏季講習という選択肢でした。
大学での専攻が日本画であることから、藝大対策の夏季講習を行っている予備校のなかでも特に日本画科の合格者率が高い学校の講習へ参加しました。
事情については初回面談時にあらかじめ予備校側へ伝えていました。講習代の支払いを済ませていたとはいえ、受験目的で参加していないにも関わらずいろいろとお世話になりましてありがたい限りです。
画塾と美術予備校の違い
絵画教室で開講される受験対策コースと、美大芸大受験対策の教場である美術予備校は、それぞれ環境として異なる性質を持ち合わせています。
まず、前者については元々「絵を楽しむ場」である絵画教室から派生しているコースであるため、受け入れ人数が予備校と比較して少数です。一般的に画塾と称される教室はこちらを指します。
また、画塾によっては志望校別だけでなく、そこから更に個人の熟練度に合わせた個別のプログラムを用意できる柔軟性を備えている場合があり、そちらも魅力の1つです。
デッサン以外の色彩構成や立体構成など、教室を運営している画家・講師の専門外の内容が受験項目に含まれる場合は特定の開講日に外部からインストラクターを呼ぶことがあります。
志望校によっては過去の指導例や合格者作品が少ない場合もあり受験対策として不足する点もありますが、費用は予備校に比べてはるかに安く、技術を身に付ける上で無理なく通える場と言えます。
次に、後者の美術予備校は主に学校法人が運営している施設を指し、ほとんどの受講生は美大芸大各志望校の合格を目的に在籍しています。
基礎コースを除き、通常受講生は志望校・学科別へ振り分けられた先の集団全体へ与えられる課題をこなします。
予備校では所属する講師の多くを占めるのは受講生の志望大学・コースに合格した学生や卒業生です。直近の受験を経験した講師が指導することで「今」の受験の傾向に沿った対策を行うことができることが大きな特徴と言えます。
質の高い実技を教えられるため、その分費用は通年で私立大学の学費並みかそれ以上にかかる学校もあります。
それぞれに通っていたことのある身としては、自分で情報収集や技術向上のための研鑽を継続する努力ができるのであれば、志望校にもよりますが画塾でも受験対策として十分だと思います。
一方で、ある程度強制力がはたらく環境の方が集中でき、また、周囲の制作環境からプロセスや対象の観察の仕方を吸収したいと思うのであれば人の母数が多い予備校をおすすめします。
元絵画教室の画塾生、美術予備校で感じたこと
私の場合は絵の技術を学び始めたのが画塾でした。
同じ受験コース生同士の野外交流会や、絵画教室として括る一般コース生の方の制作風景を見るなどして、受験対策以外で画塾に通う楽しさを見つけられたこともあり(本格的な受験シーズンを除き)比較的伸びやかに絵を学び始めることができたと思います。
ビルの一室を借りた教室の中で、どちらかと言えば和やかな空気のある環境が私の通っていた画塾でした。
そのような画塾育ちの人間が美術予備校へ足を踏み入れた途端思ったことは、まず建物の規模の大きさです。
運営元が別種故に当然といえば当然なのですが、地元の小学校の校舎程度はあるのではないかと思うくらいには衝撃を受けました。
ちなみに画塾時代の教室の大きさはこちらの予備校の資料室とほぼ同程度です。学校法人の有する学び舎ぞ如何にか凄まじき。
学生寮に短期入寮する
学生寮での暮らし
東京の予備校へ通うにあたり住まいが必要です。丁度予備校のパンフレットにおすすめの下宿先が掲載されていましたので、そのなかで費用抑え目や食事付きなど条件を絞ってなるべく過ごしやすい寮を探しました。
学生寮に入って1番良かったことは朝夕の食事を寮母さんたちに用意していただけることでした。
デッサンや着彩で頭を使うと予備校から寮へ帰る頃には既に空腹でとても料理へ手を足をと動かせる状態ではありません。
そのような時に用意される食事は実に至極の逸品です。集中力の維持などのパフォーマンスを思うとバランスの良い食事の大切さを実感します。
他、生活機器で言うところの洗濯機は共有スペースにあります。ボールドのジェルボールはこれ1つさえあれば手持ち少なく洗濯できるため、仮住まいにおける必需品です。毎度お世話になっています。
寮には門限こそありますが、基本的に講習期間は夜遅くまで外に出歩くことがないため比較的快適に過ごすことができます。
夏季講習期間に過ごす休日
美術館とギャラリーを巡る
山手線沿線の駅から多少歩けば都心にある様々な美術館へ行けます。美術鑑賞もできて健康にもよくてで一石二鳥ですね。
いざ東京の画材店へ
前評判で得應軒の筆がよいと伺っていたため東京へ来て真っ先にこちらのお店へ行きました。
線描筆から連筆まで一式をざっと揃えるとやはりそれなりのお値段になります。画材屋も場所によっては現金での支払いのみというケースがあるため得應軒での電子決済の対応はとても助かりました。
トキワ荘マンガミュージアム
偶然にも寮から程近くにありましたトキワ荘マンガミュージアム。この施設は藤子・F・不二雄先生など昭和の時代における黎明期のマンガ界を牽引した有名なマンガ家の皆様が集団生活を過ごしたアパートを、当時の様相で復原した資料館です。ここで行かない手はないと思い早速中へ入場します。
共用の炊事場や部屋の様子を見ると時代を感じますね。施設内では作業部屋の再現のほか、当時刊行されていた雑誌の表紙を集めた資料や資料館限定の記念メダルなど来場者の好奇心を掻き立てるアイテムが勢揃いしていました。
余談:東京の交通について/大阪とのギャップ
大阪と東京どちらにもJRの路線はあるのですが、ICカードで電車賃を支払うときに東京の改札では数円割引されます。
JR西日本と東日本では扱いが異なるものなのでしょうか。大阪ではICカードの利用でも切符と同じ料金での支払いが普通ですので東京へ来てから何気に驚いた出来事でした。
おわりに
いかがでしたか。
今回の記事では私がコロナ禍に大学を1年間休学したときの話から【中編】として「藝大対策の夏季講習会」「東京での仮住まい」の2項目について取り上げました。
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次回はコロナ禍に大学を1年間休学したときの話から【後編】として「休学の是非について」を取り上げます。
投稿までの間しばしお待ちください。
今後もnoteでは画材や制作に関すること、その他体験談などを投稿していきます。
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