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【第12回】自信を持てる授業をつくる②小テストの活用と個別支援の悩み

 ~看護教員から教育学者へ~

 学生に自信をもってもらいたいと願い、試行錯誤していますが、そう簡単にはいきません。
 当校だけでなく、他の看護学校の先生からも、自己肯定感の低い学生が多くなっているという声を耳にします。自己肯定感の低い学生たちが、自信を持てるような授業をしたいと願う私たちにとって「自信を持てる授業をつくる」は、興味関心が高いテーマです。今回も、西野先生の記事を読んだあと、メンバーで意見交換をしましたが、残念ながらこれまで学んできたARCSモデルの「A注意」「R関連性」のときより、自分たちの実践例があがりませんでした。たくさんの実例があげられるよう、学びを深めていきたいと思います。今回も梅澤が書いていきます。 

1 目的は違うけれど、すでに実施していたのは「小テスト」

 <ケース1> 授業が早く終わった場合、残り時間を活用して小テストを実施していた。
 酒井先生は、授業が早めに終わった場合、残りの時間を使い、看護師国家試験の過去問題を学生に提示し、授業資料を見ながら解いてもらっていました。正直に言うと、終了時間より早めに授業が終わってしまうことが多かったので、時間を埋めるために行っていたそうです。しかし、西野先生の記事を読んで振り返ってみると、この過去問題は、授業内容を理解できれば解ける問題であったため、学生たちにとっては学習目標を達成できたかどうかの1つの基準になると気づきました。また、「この問題が解けた人は、今日の授業の目標は達成です」というように、学習目標と小テストが結びついていることを伝えることが、学生の自信につながっていくのではないかと考えました。

<ケース2> 「小テスト」という名目で中間試験を実施していた。
 青葉先生が担当している老年看護学には、2単位45時間(90分授業が22回)の科目があります。4月に授業が始まり、夏休みをはさんで9月末までの長期間にわたる科目なので、中間試験を「小テスト」という名目で実施しています。この中間試験では四肢択一問題を出題しており、同じ問題は終講試験には出さないと学生に説明していました。「小テスト」と言いながら、位置づけとしては中間試験ですので、西野先生の言う毎回の授業後に行う「小テスト」とは異なります。しかし、出題の仕方について、西野先生の記事を読んで考えたことがあります。中間試験の問題は、終講試験には出さないのではなく、終講試験では筆記で出題すると学生に伝え、さらに勉強を促すことができるかもしれないということです。同じ学習内容を異なる方法で問うことで、さらに理解が深まり、その結果を臨地実習で活かせれば自信に繋がっていくのではないかと考えました。

2.個別支援の悩みを聞いてください

<ケース1> 考えを表現できない学生
 板倉先生が臨地実習で担当した学生は、患者さんの状態を踏まえ、どのような看護を実施したらよいのか考えることができませんでした。知識の習得状況が低い学生でしたので、発問をしながら、時にはヒントを出しながら、学生の考えを導くようにしてみましたが、沈黙が続いてしまい、考えたことを表現することができませんでした。このような状態では、自信が持てるどころか失うことにしかならないと思います。臨地実習に至るまでに私たちが行ってきた授業自体も見直しが必要と思いますが、目の前の学生への指導方法として、取り入れられるようなことがあればヒントをいただきたいです。

<ケース2>できないのに自信を持っている学生
 自己肯定感が低い学生は多いですが、逆に、できないのに「できます!」と自信を持って言う学生が時々います。学生自身が適切に自己評価できていないからなのか、本当はできていないとわかっているが学生自身のプライドが邪魔をして認めたくないからなのか、そもそも教員が適切に自己評価できるような基準を示せていないからなのか。理由はケースによりさまざまだと思いますが、できないことを認めることは、学生が自らの課題を見出し成長につながる大事なことだと思います。あれができないこれもできないでは、良い指導方法とは思えませんが、そうなってしまっている現実があります。このようなタイプの学生にはどのように関わっていけば、適切な自信を持ってもらうことができるでしょうか。

 今回から「ARCSモデル」の「C」に入り、半分を超えたことに喜びを感じながら、これまで学んできたことを振り返ってみました。そこで、ふと思ったのですが、この「ARCSモデル」のアルファベットの順番には何か意味があるのでしょうか。もし意味があるのであれば、いつかその話も伺いたいです。

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