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【はじめに】
bjorkとSFが好きな人がいた。
私が知らないことをなんでも知っていて、
私はすごく尊敬していた。
【どちらも手を出したことがなかった】
おすすめされて小林泰三の『海を見る人』を読んだ。
同じくおすすめされたbjorkのHyperballadを聴きながら。
【海を見る人について】
ハードSFと分類されるが、ストーリーありきのSFなので難しくてもぐんぐん読み進められた。
構成は先生と呼ばれる男が短編の内容を少女に語る、という形式の短編集。
1番好きな話は遭難した宇宙船クルーの話の「天獄と地国」
一人娘が異星の何者かにさらわれたと言い張る女性が伝承を頼りに謎を解き明かそうとするが、所詮はおとぎ話だと嘲笑されたり取りあわれなかったりする。でも本当は…?
仄かにネタバレをするとガリレオガリレイはこんな気持ちだったのだろうな、とおもった。
そして、曲とストーリーの雰囲気が結びついたのが、表題作「海を見る人」である。
時差が極端に発生している山の男の子と海の少女のお話。ちなみに山の方が時の流れが早い。
前半はジュブナイル小説っぽいが、もはや別の惑星レベルで時の流れが違うため、悲恋に終わると悟った少女が思い出の品を身につけて身を投げる。
海のさらに先に流され、もっと時差が発生しているため、彼女は山よりも海辺よりもさらに時の流れが遅い空間で永遠に落下を続ける…
【HypetBalladについて】
さてbjorkのお話に戻る。
日本でも発売当時とても流行ったそうだ。
きれいなストリングスに、静かだけどエネルギーを感じる曲調にはじまり壮大なメロディのサビにビョークのちょっとハスキー気味で、でもきちんと聞こえる声がすごくよい。
ただ、歌詞がどんな和訳を読んでも直訳にならざるを得ない難解さで、そこがまた名曲たる所以と思う。
訳は以下の方が1番きれいに訳されていたので、
ぜひ歌詞を読んだ印象と、実際に聞いた印象を比べて見てほしい。
綺麗な山にすみ、相手が起きる前に色々なものをなげすてる。そうすれば安心して過ごせるから。
「私」は毎朝何を捨てているのか。
安全に暮らすために投げ捨てる行為が必要な相手とは?
努力して安全な生活を得ている…てアンバランスじゃないか?
行きつく先は海の少女なのでは。
壮大で難解なバラッドと、壮大な宇宙と、小さな私。