完璧じゃなくても大丈夫—『傲慢と善良』辻村深月ー
今回読んだのはこの本。
読んだ本の記録は、引用ベスト3の形で書いていましたが、
今回は小説でもあるので、思ったことや考えたことをそのまま書き連ねてみます。
私は大人になるまで、
「いい人になろう」として生きてきた記憶しかありませんし、そのことに何の疑問も感じませんでした。
この一見人として何も間違ってなさそうなことに、
「本当に??」と
疑問符をこれでもかと投げつけてくれる本でした。
自分が善良な人間であろうとするほど、自分を自分で認めるために、自分とは違う価値観を持つ周りの人を見下すようになる。
傲慢な人間になって、生きるのが窮屈になっていく。
物語はフィクションでも、人の心の動きはノンフィクションな部分もあるかもしれないなと思わずにはいられませんでした。
自分を見つめ直すきっかけになったのは、自分が全く知らない土地の、全く知らない人たちだったのも、ありえるかもと思いました。
自分の知らない世界のことを知ると、自分が生きてきた世界や悩みがどれだけちっぽけで、取るに足らないことだったのか。
このことをいい意味で思い知ることができるのは、現実でも大いにあると思います。
ということで、『傲慢と善良』を読んで良かったなあと思うことは3つ。
1つ目は
「無理にいい人になろうとするのは、やっぱりいいことにならない」と再認識できたこと
2つ目は
「知らないことを知るのは、自分の可能性を大いに広げてくれる」と再認識できたこと
3つ目は
もちろんストーリーに引き込まれて、後半は一気読みしてしまったこと
いい本に出会えて良かったです。