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減税というパフォーマンス
あんたは一連の減税騒ぎを眺めているかい?
やれ、増税メガネだとかなんとかって日本国を代表する立場のヒトを捕まえて揶揄する言葉としては、なんつーか「お前のかーちゃんデベソ」的な幼稚さを感じてしまうのは俺だけだろうか?
いや、今の状況で「増税」を議論のテーブルに乗っけていくことそのものに対する経済的なインパクトってのがあるってのは俺もそう思う。
GDPギャップがプラスに転じたって言っても、ほぼ需要と供給はトントン。
はっきり言って、今の状況で国民からお金を吸い上げる方向性を政治が示しちまうってのは、せっかくプラスのトレンドが出てきているかもしれないところで冷水をかけるようなもんだ。
安倍政権で行われた2回の消費税増税がもたらせた景気の縮小と全体的な気運の変化ってのをあんたも感じているだろう?
実際、エンゲル係数なんて40年ぶりの水準にまで高まっているらしいぞ。
今回は政治と経済について考えてみる回だ。
ちっと政治を批判するにしても、もうちっと突っ込んで考えてみようぜ。
減税が出来ること
俺個人の意見としては、まず「所得税減税」という手段についての課題とそのボリュームの問題。
更にはそもそも最初にやるべきは「減税」なのか?って話。
実に多くの「?」が飛び交っている状況だと思うんだよね。
さっき書いたエンゲル係数がエグいことになっているって話を見ても、一般のヒトたちの家計が大変な状況になっているってのはマクロ的にはその通りだと思う。
ミクロ的に考えても、俺の手元の財布の状況は悲しい感じが拭えないしね。
あ、みんなからのおひねりでなんかランチを食いに行ったとかってやつやってみたらオモロイかな?
地元の定食屋めぐりみたいな。
誰かやってみてくれよ。
#他力本願
で、例によって壮絶に話がそれたけれど、そう言う手元の厳しいお財布事情を眺めると「家計支出を減らす」って方向性が求められるのはものすごく理解できる。
何しろ電気代にしろ食費にしろ右肩上がりなのに、手元の収入はついてこないんだからな。
所得税の数字を眺める
でね。
「所得税減税」ってのを行ったとしてどんな事が起きるのかってのを想像してみたほうが良い気がするわけよ。
ざっくり言えば、所得税が減った分だけ家計支出が減るって仕組みだよな。
じゃあ、どんくらい支出が減るのか。
まず2023年度予算の所得税の見込みは21兆480億円だそうだ。
で、2023年10月の人口概算は1億2434万人だそうだ。
うち、就業者数は6787万人なんだと。
単純に就業人口で割り算をしてみる。
21兆480億円÷6787万人=31万122円
こんな感じの数字なんだな。
こっから4万円引きましょか?って話なのか。
こうしてみるとさ。
「減税」で出来る経済的効果って文字通り限界があるってのが見て取れるよな。
ぶっちゃけ、電気代だけでもこの2年で1.6倍になっているって話もある。
月額平均電気料金は一般家庭で1万5千円くらいらしいので、年間18万円かかっている。
これが1.6倍って考えると、ざっくり2年間で10万8千円増えた計算だ。
なんつーか年4万円?なにそれおいしいの?って話だよな。
政府による投資の意味
所得税減税を「定額減税」って手段にしているってことは、いわゆる富裕層に向けた政策じゃなくて貧困層に対するセーフティネットって意味合いなんだと思うんだ。
でもさ。
所得税減税という手段(というか俺にはポーズにしか見えない)を選択することで、その恩恵にアヤカれるのは2024年6月なんだろ?
しかも税制関連法の改正とか国会を通さないといけない話が目白押しなので、そもそも成立するのかもわからない。
給付ならもっとスピーディに出来るんだろうけれど、それをしない理由ってのを岸田さんは説明してくれていない様に見える。
ってか、減税に拘る理由って「選挙前に減税した」って言う既成事実がほしいだけにしか見えない。
それじゃあセーフティネットが聞いて呆れるじゃんか。
あと、やっぱ「減税」って手段だと市中に回せるお金の上限が文字通りあるってのが問題だと思うんだよな。
所得税はさっきも書いた通り、一人あたり31万円くらいしか減らすことが出来ない。
元々所得税を取っている額以上には返せないからね。
でも家庭の電気代だけでも2年で10万も上がっている。
家庭の電力の消費量は変わっていないのにだ。
な?減税だけだとどうしたって間に合わないんだよ。マジで。
じゃあどうするのか?
やっぱり政府が積極的に仕事を民間に「継続的に」発注して経済活動を活性化させるしか無いと思うんだ。
ポイントは「継続的に」ってところ。
実際、2023年度予算の各省庁の予算を眺めてみると、厚生労働省、農林水産省、経済産業省とかの産業を支えている省庁の予算は前年比で減額されている。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/03.pdf
つまり、第一次産業、第二次産業、第三次産業ともに政府から流れてくるお金が減っているって話だ。
継続的に仕事があるという状況が作れなければ、景気は回復しない。
そのために国債を発行して、それを原資に政府が投資をしていくことで、ジャブジャブになっている金融緩和によって生じている日本銀行当座預金から市中へ流していける。
ぶっちゃけ、食料安全保障とか待ったなしの課題はいくらでもあるんだ。
そこに手を入れないで、減税というパフォーマンスに終止するとか、何を持って経世済民だって話にならんかね?
なあ、あんたはどう思う?
俺たちは「増税メガネ」とか言う言葉のインパクトに踊らされている場合じゃない気がしないか?