【最高値更新中】ドバイ不動産価格の暴落はいつ起こるのか?
以前から一部のYoutuberがドバイ不動産は暴落すると煽っていましたが、2024年11月現在、最高価格を更新しています。今回は、現在の市況がどんな状態なのか、またドバイ不動産価格の将来の展望について考察します。
マクロ経済の市況感
ドバイ不動産を考える前に、グローバル経済(マクロ経済)の状況を整理してみます。
ここ数年の投資を考える上で、最大の注目は米国大統領選挙でした。今回の選挙で、トランプ氏が当選することが決まってから、マーケットは大きく反応しています。
具体的には、長期金利、米国株式が共に上昇しました。
2016年のトランプ氏が当選した時の同じ動きになっています。トランプ氏の政策は、景気刺激策を講じており2016年は株高につながっていきました。2016年と2024年の状況で大きく異なる点は、インフレです。
米国は、国債を発行した利息の返済のために国際を発行するはめになっています。この米国の債務問題が、深刻かつ解決困難である懸念が高まっています。
トランプ氏の景気刺激政策でインフレが再加速し、金利が上昇すると、米国の利払い額が増加することになります。この状況になると、いつか米国債の暴落を招く可能性があります。
以上が、現在のマクロ経済における市況です。
米国がドバイに与える影響
アブダビ政府やドバイ政府は、近年USドル建での資金調達をしています。金額はサウジアラビアの方が大きいですが、UAEが米国経済と全く関係ないとは言えません。
米国大統領選挙が、UAEにとってなぜ大事かというと、UAEの通貨はUSドル固定レートを採用しているからです。USドルとディルハム(AED)の価値を、1 AED = 3.67 USD になるべく固定するために、UAE政府銀行は政策金利を米国に連動させています。
米国の不動産市場が直接的にドバイ不動産に与える影響は、これまでのところそこまで大きくありません。しかし、政策金利は、住宅ローンに影響を与えます。UAEの住宅ローンの利用者は、年々増加しています。
2016年からトランプ氏が景気刺激をし、2018年に世界同時株安になるまで2年の時間がかかっています。ドバイ不動産の価格推移は下記のグラフです。
2016年〜2018年あたりを見ると、2018年にマーケット価格は1.1M AEDと落ち込んでいます。しかし、この下落は供給過多による下落と捉えている人が多いことも事実です。世界同時株安の要因が、米中貿易摩擦が一つの要因であるので、UAEにはさほど影響がなかったという評価もできます。
もう少し視点を広げて、原油価格、米国株式、UAE(アブダビ)株式を見てみます。3つとも同じタイミングで下落しているのは、2008年のリーマンショック、2020年のコロナパンデミックの時です。
世界的な経済の下落局面ではUAEに影響があることがわかりましたが、日本のように米国経済の変化をダイレクトに受ける とも言い難い動きになっています。
中期的に米国の債務問題が顕在化し、株価が暴落し世界経済に波及した場合は、ドバイにも少なからず影響はある可能性があります。
ドバイ不動産の今後の展望
2018年の下落の原因を整理する
2018年は米国の影響を受けて下落したわけでないと仮定すると、シンプルに需要と供給のバランスが崩れたと言われています。
2018年のドバイの人口増加率は 3.2% だったようです。当時の人口が320万人なので、約10万人がドバイに移住した計算になります。一方、物件の供給数は、約3.2万件だったようです。
人口増加が10万人であれば、新たに増えた人口に対して十分な住宅供給が行われているようにも見えます。平均世帯人数を3~4人と仮定すると、新たな住宅需要は約25,000~33,000戸となります。
したがって、人口増加に基づく新たな住宅需要と2018年の新規供給(約32,000戸)はおおむね一致しています。この点だけを見ると供給過剰とは言えないかもしれません。
つまり、2018年の下落を供給過多という理由で片付けるわけにはいきません。他に考えられることは、やはり米国の利上げ、株安によって海外投資家の姿勢が慎重になったことも考えられると思います。
総合的に、2018年以前からのドバイ不動産の価格成長が顕著にはみられてなかった点、株安によって海外投資家が慎重になった点が重なることで、実需ではない純粋な投資層が減ったと考察できます。
2025年以降の不動産価格の展望
ここまでの考察でわかることは、ドバイ不動産の市場を考える上で2つの視点から考えるべきです。
1つ目は、人口増加に伴う実需はどんな層なのか。
2つ目は、USドル経済の動向と海外投資家の心理。
① 人口増加に伴う実需はどんな層なのか
2024年Q3時点のドバイ不動産の取引件数は、1M AED(4000万円)以下の物件が増加しています。また、ここ数年は住宅ローンの利用者割合が20~40%ほどを占めています。一方、2023年の不動産市場を牽引していた5M AED以上の物件取引は勢いが治ってきている気概があります。
世界で最も富裕層が流入しているUAEにであることは事実ですが、労働者(移住者)が比較的安価な物件を購入している側面があります。
住宅ローン金利は、USの政策金利に影響を受けます。そういう意味で、米国が今後は金利上昇局面になると予想できるので、ドバイの住宅ローンも少なからず影響があると考えられます。
2024年は約13万人の人口増加を記録しています。13万人がどのような所得層なのか、どのエリアに住まいを構えているのか、住宅ローン利用率と合わせて注目していく必要があります。
② USドル経済の動向と海外投資家の心理
ドバイ不動産の海外からの投資家が、強気なのか慎重なのかによって、ドバイ不動産マーケットに影響を与えます。
2024年Q3の売買取引の68%は、オフプラン物件です。オフプラン物件とは、未完成物件なので実需とは言えません。投資要素が強い取引です。
2016年~2018年を考えると、米国経済は、金利上昇と株価上昇がある程度続くことが予想できます。仮に1年間この状態が続くとすると、2026年あたりまではドバイ不動産市場もこの調子で上昇していくと考えられます。
2025年のUAEのDGP成長率(予測)は 5.1%です。ドバイ不動産がGDPと同じ成長率だったとしても、5.1%のキャピタルゲインは期待できます。
米国の国債発行による債務超過が問題となるのは、おそらく2026~2027年にかけてではないかと予想できます。その時、米国経済から資産の逃避先としてUAEを選択する投資家がどれだけいるか、が今後のドバイ不動産市場を考える上で重要な視点になります。
また世界的な不景気が起きた時は、ドバイ不動産も下落局面に転落する可能性もあります。
トランプ氏が政策を上手に実行できるのかによっても異なりますが、
今後の米国の景気、政策金利、原油価格、USドルの影響力、ディルハムの価値に注目すれば、より多くの海外投資家がドバイ不動産をポートフォリオに組み込む可能性があると思っています。
以上、ドバイ不動産の暴落はいつ起こるのか、マクロ経済的な視点から考察をしました。
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