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ZINE Print Production /デザイン、印刷、装丁、製本の話

HILLS ZINE MARKET 2022 ART & ZINEに参加させていただいきました。初トライだった2019年の反省を生かして、すぐの制作を予定していましたが、2020年、コロナの脅威がやってきてしまいました。他にも何冊かの制作を予定していましたが、制作を延期するなど進め方や予定を変更せざるを得ない状況になってしまいました。

通常の仕事でもイベントが中止になったり撮影が中止になったりと制作の現場にもさまざまな制限が出ている中での制作でした。何度も丸々無くして、全部がクリアになってからと思いましたが、こんな時こそ制作していくことで、新たな発見や繋がりができるかと思い制作をスタートさせました。

What is ZINE? / ZINEって何?という人に

CONCEPT ~“CASE OF MIKA AKIZUKI"

広告クリエーターってテーマだったり、意味だったりきちんと目的がないと物作りの着地点が見つけられないと思っています。ZINEの制作って何をやってもいいし、縛りがない、だから楽しいけど難しい。自分がアーティストだったらもっと楽だったのかもしれません。でもやっぱり、広告クリエーターなので、意味がないものより何かメッセージやものから伝わってくるストーリーを大切に制作しました。テーマは何もZINEの中には書かれていませんが、メッセージを入れ込んで作られています。

制作者や演者、クリエイティブに関わる人は持っているものかと思いますが、制作物は時間がある限り探求し、時間があれば常に突き詰める、そして自分自身を探究し続け、未完成の状態が基本であり、常にレベルアップし続けていくことを基本としている。俳優業も同じく常に進化し続ける人たち、感性がバージョンアップしていく人、作っては修正しまた違うものをつくりだし、自分自身の完成に向けて自分自身を生み出す。つくり続けながらまだ完成の途中であることをテーマにしています。前回2019年のZINEにも参加していただいり、TVCMのお仕事でもご一緒した俳優さん秋月三佳さんと制作しました。

SHOOTING

コロナ禍で色々制限がある中でのトライでしたので結果まるまる1年くらいかかってしまいました。感染状況、感染者数、宣言のレベル、俳優さん、メイクさんのスケジュール、苦労した天気、室内はマスク着用がほとんどだったので基本的にロケ。良かったのは、逆に人がいなかったので撮りやすかったというメリットもありました。渋谷、代官山、横浜、みなとみらい、ハンマーヘッドや鎌倉、逗子など時間をかけて撮影しました。

ZINEに入れ込んだ40カット以上も写真

DESIGN / PRINT / BOOK BINDING

デザインは、通常の開きではなく縦に開いていく日めくりカレンダーのように構成していきました。撮影しては構成しデザインを組んでまた次撮影して組み上げ、撮影しながら構成もしつつ、彼女の表情や動きと合わせてデザインしていきました。余白をつけたり風景やモノクロを取り込んでいくことで現場での世界観を入れ込んでいます。

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中面のデザイン手法についてですが、仕上げ装丁にも関わる部分にもつながるのですが、いつも色校正でついている、印刷のカラーバー、コマの部分、トンボを生かしたデザイン装丁にしました。このヒントになったのは、篠原紙工さんで制作された会社案内がヒントになりました。このサンプルを見せていただいた時に完全に一目惚れ、制作のかなり前に打ち合わせさせていただいたのですが初期に決めていました。

普段は裁断してしまうカラーバーとトンボ

中面の紙はエアラス140kgを採用しました。表紙の紙は、アラベールのスノーホワイト160kgにしました。本来、表紙は一体型のデザインで考えていましたが、コスト面もサンコーさんに相談に乗っていただき、ロゴをプロッターでカットする方法にしました。この辺も含めて動画にしていますので、後ほどご覧ください。

オリジナルで制作したロゴタイプ
プロッターでカットした表紙

印刷に関してですが、悩みどとこでした。一番は仕事でもよく聞く費用対効果、クリエイティブを突き詰めることとは、真逆のお話しですが何でも全部できるわけではないので頭を悩ませました。前回は、中面はオンデマンド印刷、表紙だけはオフセット印刷、特色など使って仕上げましたがそれ以上を狙ったクオリティや仕上げにしたかったんので単価だけで考えず、オフセット印刷、オンデマンド印刷、ジェットプレス、インクジェットなど、印刷サンプル紙、撮影した写真とコスト回りで検討しました。今回の印刷は、隅田にある株式会社サンコーさんにお願いをしました。撮影をしている段階からご相談させていただき、手法はタレントの肌質なども考慮し色々サンプルなどで確認しながらジェットプレスにしました。ジェットプレスは、肌の質感や透き通った空の感じを出すに最適で、CMYKよりも色域が広いのでRGBの世界観の色表現も可能な最新の印刷機です。今回、印刷を加藤文明社で行いました。

ジットプレスプリンター 印刷機
表紙のカバーに合わせた無線綴じ

ただし高いハードルがありました。篠原紙工さんのカラーバーは中綴じ製本で紙を重ね合わせることで自然な厚みで構成された製本、今回の製本は表紙とのマッチングも考えて無線綴じ。紙の厚みでズラすことはできないので、篠原紙工さんから0.5mmずつズラシて断裁することで、精密仕上げにできるというご提案をいただき、精密なアナログ感ある素晴らしい仕上がりに仕上がりました。

0.5mmずつズラシて断裁することで、精密仕上げに。

ALL Print Production

ZINEの印刷工程から製本までを動画にしております。ひとつひとつの工程に関わる会社や人の数、作り上げる想いや力が見えてきます。プロッターの細かい作業、印刷の色、装丁の工程、アナログからデジタルへ移行している時代ですが、緻密なデザインや加工はアナログが素晴らしいと思います。是非、ご覧ください。

スタッフリスト
アートデイレクター:植村啓一
撮影:植村啓一
俳優:秋月三佳
ヘアメイク:大森由貴
エディター:佐久眞 
協力:藤原基(東北新社)
製作協力:株式会社ステッカー
印刷:株式会社サンコー
加藤文明社
製本:有限会社篠原紙工
企画制作:DRIVE,

ここまで読んでいただきありがとうございます。
このZINEは、六本木ヒルズで展示、販売しております。
残りの時間少ないですが、是非会場で手にとってください。
また、全てのクリエイティブに関しては、DRIVEのページで公開予定です。
※下記は、ヒルズの詳細になります。

HILLS ZINE MARKET ART & ZINE 2022
CURATED BY ENLIGHTENMENT

会期  2022.6.24(金)~ 7.18(月)
開廊時間  12:0020:00
会場  六本木ヒルズA/Dギャラリー(六本木ヒルズ ウェストウォーク3階)
アクセスはこちら
料金  無料
お問い合わせ   Tel03-6406-6875

参加アーティスト
青山 夢、アワジトモミ、ikikITSUMO、岩間有希、植村啓一(DRIVE,、岡田将充(OMD)、小川 泰、角田麻有(Enlightenment)、片寄優斗、加藤崇亮、金子 仍、カワイハルナ、木村優矢、QQQ、酒井直之、坂口隼人、SARUMEsawanoenami、スージー甘金、谷田一郎、たむらさとる、都築まゆ美、手島 領(螢光TOKYO)、中島友太(Enlightenment)、人人、沼田侑香、長谷川雅子、halulu、ヒロ杉山(Enlightenment)、颯廣瀬、マ.psd、村上 周、村松佳樹、山本恵美、吉田真由(Enlightenment)、米原康正、Ryan ChanLeslie Kee


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