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彼女のおもいで
「10年後、何してんだろ」
僕は彼女に問うた
彼女は言う
「タイヤを頭で作ってたよ。そのタイヤをつけた車が壁を壊して入ってきたの。」
彼女は死んだ
金魚を育てていた。2人で順番に餌やりをしてた。月水金は僕。火木土は彼女。日曜は決まっていなかった、2人ともあげていた日もあった。
彼女はよく言っていた。
「空上ビルから人が来る。」
金魚はいなくなっていた
彼女は連れ去られたのかもしれない。ただ、木や草と話をしていただけだった。
彼女は素敵な人だった。
髪を撫でてくれた。
庭に穴を掘ってくれた。
綺麗に石を削ってくれた。
僕は待っている。
今尚、玄関のドアを開け続けている。すべて彼女のためだったのかもしれない。
彼女は言った
「忍者はまだ生き残ってて、学校にいるんだよ。」
ひまわりが揺れていた。
僕はひまわりを切り落とした。
彼女の首もおとしたのだろうか。
彼女は出ていった
講義室の床の上で寝転ぶ日々が続く。
僕は誰になったんだろうか。
何も望まなかった、彼女が変わらずそこにいる。それだけで生きていける。
彼女はどこにもいない
僕はどこにもいられない
彼女は死んだ