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#4 成瀬は天下をとりにいく(宮島未奈)
書評要らず
こんな面白い本があることを知らなかった。ストレス解消のため、本屋に立ち寄り、本能的に買っただけなのだが、こんなにどハマりするとは思わなかった。それも、展開ではなくキャラに。
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主人公は成瀬あかりなのか?
いやいや、島崎みゆき抜きで成瀬の魅力は語れない。「ありがとう西武大津店」で見せた成瀬のローカル番組映り込みへの執念は、島崎みゆきのフォローあってこそ。好きでもない「西武ライオンズ球場」のユニフォームを着ている2人の姿が自然と脳裏にイメージできたから不思議。栗山と山川のチョイスも笑えた。
傑作は「膳所から来ました」
この回のインパクトがすごい。唐突にM-1に挑もうとする成瀬の衝動性はもちろん、ここでは島崎のボケの才能が見事に引き出されたり、ボケとツッコミが次々と入れ替わる(笑い飯)的な展開があったり、ミルクボーイのコーンフレークネタを上手く絡めたりと、寄せで漫才を見ているような感覚で最後まで読み切れた。ずっと笑っていた。
伏線回収の妙
「階段は走らない」「線がつながる」「レッツゴーミシガン」あたりは、「あれ?あれれ?」となったが、最後の「ときめき江州音頭」で回収されてホッとした。成瀬、島崎、マサル、敬太の線が繋がったこと、成瀬がひたすら反省すること、ゼゼカラ(漫才コンビ)が存続することなど、人間味あふれる展開に魅せられた。
町興し
西武大津店、ときめき小学校、ぐるりんワイドなど、ローカルなフレーズに成瀬たちがマッチし、西武が撤退したこの街に正気が漲っているような感覚を覚えた。地元の盛り上がりが手に取るようにわかる。誰もが幸せになる、そんな愛すべきキャラを設定された宮島未奈さんの手腕に乾杯🍻
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