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処暑(しょしょ)Fading Heat

太陽を基準にする二十四節気で立春から14番目の節気。
天球上の太陽の通り道である太陽黄経0度「春分点」から150度です。
「処」には、終わる・隠れるという意味が含まれていて、厳しい「暑さ」が
収まってくる頃です。

8月の終わりから9月の初めにかけてのこの時期は、秋らしさへの過渡期。
夏の暑さも和らぎ、朝夕には涼しい風が吹き、虫の声も聞こえてきます。

<台風が多い時期>
台風が多い時期なので、立春からの日数を目安にした、「二百十日」「二百二十日」が、台風襲来、荒天の目安として雑節に加えられています。

二百十日は毎年9月1日頃ですが、1951~2010年のデータによると、実際に台風が多いのは8月31日と9月1日。
稲が開花結実する大事な時期であり、農作物の被害を最小限に減らすための注意喚起として重要な目安です。

日本の南、熱帯地方の海水の温度が高く、水蒸気を多く含んだ空気が集まると雲ができやすく、放射された熱が周りの空気を温めて、上昇気流を強くします。このサイクルが繰り返されると熱帯低気圧となり、さらに発達すると台風になります。夏の厳しい暑さから、気温が下がってきても、海水温はなかなか冷えないので、秋の初めに台風は起こりやすくなります。

台風情報 日本気象協会tenki.jp


処暑@七十二侯

初侯 | 第40候 綿柎開(わたのはなしべひらく)
綿を包む萼(がく)が開く 頃

綿とは、木綿にする繊維をとるアオイ科ワタ属の多年草「ワタ」です。
原産は世界各地の熱帯または亜熱帯地域で、インドから中国、そして日本へと伝わりました。朝鮮からの輸入品だった綿が国内各地で栽培されるようになったのは、15世紀末~16世紀中頃戦国時代と言われています。

夏に次々と咲くハイビスカスに似た花は1日でしぼんでしまい、その後の果実ができて、秋にはじけて綿を出します。
花屋では、実がはじけて綿が見えたものをコットンフラワーとして見かけますね。

綿の花
綿の実

次侯 | 第41候 天地始粛(てんちはじめてさむし)
ようやく暑さが鎮まる頃

「粛」には、引き締まる、つつしむ、かしこまるという意味があります。
出過ぎないよう、やり過ぎないようおとなしくなるという感じでしょうか?

中国の陰陽五行説でみると、
春から秋へと上昇し、夏にさらに広がっていった「陽」の性質から、
秋からは下降し、冬へは収斂へと向かう「陰」の性質へと、
大きく変化する時期です。
動的なエネルギーが静的な状態へと変わっていく様子は、確かに「粛」という字がふさわしいのかもしれませんね。


末侯 | 第42候 禾乃登(こくものすなわちみのる)
稲が実る頃

禾(のぎ)は穀物、あるいは穀物の穂先にある毛のことです。
穂を実らせた穀物の形に由来すると言われています。
「禾」という漢字そのものよりも「禾(のぎへん)」の方が
おなじみかもしれません。
「稲」「穂」「種」「穫」…「秋」も。

収穫物を天日干しにして乾かす、あるいは害虫を追い払うことから、
「禾」に「火」がつけられて、「秋」になったと言われています。
「麦秋」は初夏の季語であるように、「秋」は「秋の季節」だけでなく、「収穫の時」「重要な時期」をあらわし、訓読みでは「あき」以外に、
「危急存亡の」のように「とき」とも読みます。

夏の厳しい暑さから、過ごしやすい秋になると、ほっと落ち着いた気分にもなりますが、その年の収穫が大勢の命を左右する時代には、もっと切羽詰まった時期だったことでしょう。
重要な時期として秋をどう過ごすか、今年の様々な収穫をどう生かしていくのか、先のことを考えるにもふさわしいのかもしれません。


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