ベッドの柵はのぼるもの
ご存知の方はご存知と思うが、息子おもち、生後10ヶ月ほど入院していた。うち8ヶ月ほどNICUとGCUにおり、更にかなりデバイスが必要な医療的ケア児であったため、相当な人数の医療者の方たちにお世話になってきた。医療者の皆さん、まさにおもちの病との戦いを共にくぐり抜けてきた、戦友ともいえる存在である。
そのためか、久しぶりに入院すると、色々な方がご挨拶に来てくださり(おもちの入院をどうやって知るのか毎回驚く)、おもちは忘れているものの、母は感動の再会を喜ぶのである。
『おもちくん、あーんなに小さかったのに!NICUにいた時は……でしたよね、で、その時……』
何年も経つのによく覚えていてくださって、母は感涙必至でございますよ、おもちは忘れてるけど。
『それがこんなに大きくなってー!おもちくん、柵登るぐらいになったのねー!』
ん?と振り返る母の目に飛び込んできたのは、ベッド用のテーブルを足台に高柵ベッドの柵を乗り越えようとしている息子の姿であった。
あかーん!!
まさか、怖がりで慎重なおもちが柵を目掛けていくなんて!!
『ベッド柵は1番上まで上げてください』
は守るけどそんなに気にしていなかった、気にする必要がないと思っていたおもちが、柵を越えようとするなんて!!
再会を喜び、おもちの元気な姿を見て頂けて嬉しく、しかし柵の注意書きが急に自分ごとになり、色々脳内が忙しいことであった。