ないないない ないないない
ないないない ないないないない ないないない
吾子がわれのため 絵本を読める
息子おもちくん、いないいないばあが大好きである。
赤ちゃんは、いないいないばあで一瞬世界が真っ暗になって戻るとか、顔が消えてまた現れるとか、そういうのにドキドキして楽しんでいるらしい、と聞いたことがあるようなないような気がするが。
とにかく、おもちくんは、絵本でも遊びでも、いないいないばあが好きである。
家にいないいないばあの絵本は何冊かあるが、特にお気に入りは、かの遊びが番組名にもなっている、緑色の耳の犬と妖精が出てくるものである。
おもちくんの絵本の入っているおもち専用ボックスから、いつものようにいそいそと、そのお気に入りの絵本を選んで持ってきて、母の私の前で広げる。
『ないないない、ないないない』
小さなおててで一生懸命ボードブックをめくりながら、私に読んでくれている。
俯きがちのぷくぷくのほっぺたに、長いまつ毛の影がさす。
とてもしあわせで、永遠に心のアルバムに刻んでおきたい、やさしい時間である。