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股関節骨折をなんとしても避けたいワケ #1
はじめに
少し仰々しいタイトルになっていて
びっくりされた方もいると思います。
決して読んでくださる方を恐怖を与えることが
この記事の目的ではありません!
システマティックレビューという信頼度の高い論文を
みなさんとシェアをして、少しでも考えるきっかけ
になればと思っています。
30歳を過ぎると、骨を作る能力は低下していくため、
毎年少しずつ骨量が失われていきます。
骨折の>95%以上の原因は転倒です。
転倒の原因はさまざまですが、骨粗鬆症もその1つです。
記事の目的
骨粗鬆症のリスクは幼少期の骨密度によっても左右されるので、
10代、20代であればより質の良い、強い骨につながる
ライフスタイルを心がけることができますよね!
若くても股関節骨折がどれほど致命的なのかを知って
今からできることを知ってもらうのがこの記事の目的です。
今回のテーマは股関節骨折
まだ、若いから骨粗鬆症なんて私には関係ないって
思ってませんか?
骨粗鬆症は痛みもなく無症状で進行するため
自分では気づきにくい病気です。
骨折するまで気づかないということも少なくありません。
そして、ある日転倒⇨骨折し、
突然、今までの日常生活にサヨウナラすること
もしくは、突然、介護者という立場になるかもしれません。
少し考えてみていただけませんか?
骨折や手術による痛みや不快感、不自由さに加え、
今まで自分で身の回りのことをやっていた方であれば、
身の回りのことができなくなる、
趣味を楽しむこともできなくなるなど、
人生の質が大幅に下がってしまいます。
体だけでなくメンタルにも相当きますよね。
これから数回に分けて、
◆まず、股関節骨折や骨粗鬆症に関して複数の論文を紹介します。
◆Risk factors:どのようなこと・人が骨粗鬆症になる危険性が高いのか
Epidemiology : 骨粗鬆症はどれくらいの人に影響しているのか
を見ていきます。
◆最後に今からできることをご紹介します。
今から出来ることの話をもったいぶるつもりはないのですが、
ワケも分からず、勧められたサプリを飲んでみたり
運動をするということではなく、この投稿を読み、
現時点での生活や、自分にリスクファクターはあるのか等を
ご自身で考え、自分ヤバいかも、何かしなきゃとご自身で思うことが
アクションにつながると思うので、順を追ってお話させていただきます。
股関節骨折に関するショッキングなデータ
股関節骨折と死亡率について
2013年に発表された論文です。
この論文によると過去31年、股関節骨折後の死亡率に
大きな変化がないということがわかりました。
では、ここで、股関節骨折後の死亡率を見てみましょう。
外科的手術で治療した場合の12ヶ月以内に死亡率は21%
言い換えれば、これは5人に1人は股関節骨折の手術後
1年以内に亡くなるということです。(・Д・)
衝撃的じゃありませんか???
私は大学院でこのデータを示されたとき非常に大きな
衝撃を受けたのを覚えています。
自身も祖母を股関節骨折から2年以内に亡くしていたからかもしれません。
さらに衝撃的なのは、
アメリカで冠動脈疾患による死亡率はEBM (エビデンスに基づく治療)
により、1980年〜2000年の20年間に約40%も減少したにも関わらず、
股関節骨折後の死亡率は1980年代から20%前半で推移しており、
変化がないということです。
この研究に関して
興味のない方、難しいと思う方はまとめまでスキップしてくださいね。
過去50年で股関節骨折とその後の死亡率
に大きな変化があったかを調べることが目的システマティックレビューで分析
1981年から2012年間に英語で発表された論文が調査された
無作為化比較試験研究デザイン (= 統計的に質が高いとされるデザイン)の論文70本を調査
股関節骨折を外科的治療し、死亡率に関するデータがある論文を調査
まとめ
◆システマティクレビューという信頼度が高いデータの考察・まとめた結果が、股関節骨折1年以内の死亡率21%でした。
◆この数字を低いと捉えるか高いと捉えるかはあなた次第ですが、
亡くなるということ、または誰かを失うということが避けられても
元の生活に戻れる人はほんの15%ほどです。
股関節を骨折すればほぼ外科的治療を選択することになり、
痛みや不自由さは言うまでもないですよね。
この記事を読み、なにか少しでも考えるきっかけになれば幸いです。
最後に
次回も引き続き、股関節骨折に関するデータをシェアしていく予定です。
なので、よろしければ是非お付き合いください。
具体的に出来ることはなに?って思っている方達、
よろしければ是非フォローして次の記事も読んでみてくださいね。
Moet
参考文献
Simran Mundi, Bharadwaj Pindiprolu, Nicole Simunovic & Mohit Bhandari (2014) Similar mortality rates in hip fracture patients over the past 31 years, Acta Orthopaedica, 85:1, 54-59, DOI: 10.3109/17453674.2013.878831
Carandang R, Seshadri S, Beiser A, et al. Trends in Incidence, Lifetime Risk, Severity, and 30-Day Mortality of Stroke Over the Past 50 Years. JAMA. 2006;296(24):2939–2946. doi:10.1001/jama.296.24.2939
Setoguchi S, Glynn RJ, Avorn J, Mittleman MA, Levin R, Winkelmayer WC. Improvements in long-term mortality after myocardial infarction and increased use of cardiovascular drugs after discharge: a 10-year trend analysis. J Am Coll Cardiol. 2008 Apr 1;51(13):1247-54. doi: 10.1016/j.jacc.2007.10.063. PMID: 18371553.