食べなきゃ損?! 骨強化に必要な納豆の量
今日は納豆がなぜスゴイのか。
なぜ、近年ビタミンK2が注目されているのかに迫ります。
簡単サマリー
ビタミンK2について研究した論文を3つ紹介しますが、
まず最初に簡単に今日の内容のまとめです。
論文1 ビタミンK2と骨の強化
ビタミンK2の摂取が閉経後女性の骨を強化するかどうかを調べた論文です
前回の記事でご紹介したように、
納豆には豊富なビタミンK2が含まれています。
ビタミンKは骨にカルシウムを蓄積させる作用がありますが、
「ビタミンKが骨にカルシウムを蓄積させる」
= 「骨折リスクが少ない」
とはもちろん言い切れないですよね。
なので、ビタミンK2は臨床的にどんな効果があるの?
ということを調べた論文です。
この論文ではRCT(ランダムか比較試験)で研究を行なっており、
被験者はビタミンK2とプラセボのグループにランダムに
グループ分けされるため、エビデンスレベルが高いと考えられます。
まず最初にこの研究の結果と結論を紹介します!
結果と結論
【結果】ビタミンK2は骨塩量(BMC)*と大腿骨頸部幅(FNW)*が
プラセボグループと比べ大きく改善しました。
【結論】ビタミンK2の高摂取は閉経後の骨量減少を予防する可能性がある
*骨塩(BMC)⇨骨の材料であるカルシウムやリンなどのミネラルのことです。
このミネラルの量が少なくなると骨がスカスカにになってしまいます。
⇨つまり、ビタミンK2が骨塩量を改善する=less スカスカにするという
ことです。
*大腿骨頸部幅(FNW)とは⇨字の通り、大腿骨頸部の幅のことです。
この幅が、骨密度が低い人や股関節骨折をした人では
増加していることがわかりました。
これは大腿骨頸部という大事な部分で骨折リスクが増加していることを
私たちの体が補正しようとしてFNWが増加していると考えられています。
骨密度が高く丈夫な骨であることは骨折しないために大事なことですが、
骨の形状や太さも丈夫な骨や骨折リスクに関係しています。
例えば、ワイングラスとマグカップで考えると、同じ材質であっても
形状や太さが違うと壊れやすさが違いますよね。
⇨つまり、大腿骨頸部の幅(FNW)が大きい方が骨の強度に
プラスになるということです。ビタミンK2がこのFNWを改善
するということです。
この研究で使用したビタミンK
この研究では閉経後の女性325名をプラセボグループまたは
45mg/日のビタミンK2のグループに分け、3年間投与しました。
⇨前回の記事で納豆1パックあたりのビタミンK2は
300〜400mcgとご紹介しました。
単位に注目すると、この研究に使われたビタミンK2は
45mg(=45,000mcg)で、納豆に含まれるビタミンK2の
約100倍にもなる高用量でした。
なぜ納豆は注目されているのか?
論文2 MK-4とMK-7
それは、同じビタミンK2でも
論文1で使われたのはMK-4という種類で、
納豆に豊富に含まれているビタミンK2はMK-7という種類です。
このMK-4とMK-7の違いが結構あるのです!!
具体的には、以下のような違いがあります。
◉MK-7はMK-4よりも低用量の摂取でも
血清中の濃度を上昇させる
⇨この調査ではMK-4,7ともに60mcgが7日間投与されました。
MK-7、60mcgは、納豆1パックで簡単に摂取できる量です!
◉MK-7はMK-4よりも半減期*が長いことが分かりました。
⇨ 半減期が長いMK-7は、
MK-7が体内で作用する時間が長いということです。
⇨つまり、これはMK-7は頻繁に摂らなくても
血清中濃度を維持できるということです。
*半減期とは⇨投与された血中薬物濃度が
半分の濃度になるのに要する時間のことです。
◉栄養レベルの投与量では
MK-4よりMK-7の方がバイオアベイラビリティ*良い
⇨MK-7はバイオアベイラビリティが良いので、
1日に60mcgでも血清MK-7濃度を上昇させるということ
が分かりました。
⇨1日に45-90mcgのMK-7を摂取することで、
骨にカルシウムが蓄積するのを促進するオステオカルシンという
タンパク質のカルボキシル化に有効だという研究論文もあり、
この調査結果と一致しています。
⇨つまり、
MK-7を1日45-90mcg=納豆1パックを食べることで、
(ucOC*を低下させ)骨密度を上げることに寄与するということです!
*バイオアベイラビリティとは⇨体に吸収され体が使うことができる量
*ucOC値とは⇨正常な機能を持たないオステオカルシンのこと。
論文3 納豆を多く食べる人で観察されたこと
◉納豆の摂取量が多い人ほど、
血清ucOC*の値が低く骨密度が高いことが分かりました。
⇨低ucOC値と骨密度アップは関連していると考えられ、
納豆の摂取量が多い人ではucOC値が低かった。
⇨納豆の摂取が多くucOC値が低い人では
股関節全体および大腿骨頚部の骨密度(BMD)が有意に高く、
また、低BMDリスクが低いという関連性が示されました。
【もう少し詳しく】
⇨MK−7はオステオカルシンのカルボキシル化に関与しており、
これによってucOC値(=正常な機能を持たないオステオカルシン)
が低くなるため、低ucOC値と骨密度が高いことに関連性が
あるようです。
*ucOC値とは⇨正常な機能を持たないオステオカルシンのこと。
まとめ
最後に & 注意!!!!
やっぱり、納豆すごいと思います!
ビタミンKは脂溶性だから油分と摂ると吸収率が良い
ということを忘れずに日々の生活に取り入れてみてくださいね!
スーパーフード、納豆ですが、
前回の記事にも書いたように血をサラサラにするお薬
ワーファリンを飲んでいる方は注意が必要です!!!
納豆を急にたくさん食べたりせず、必ず、
医師の指示に従ってくださいね。
皆さまが一歩でも健康に近づけることを祈ってます。
Moet
参考文献
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