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2024年に出会ったアルバム + ベストバイ【前編】

2024年もいろいろありました。
今回からはお気に入りのアルバムだけでなく、今年見たり読んだりしたものの中で、コレはと思ったものもご紹介したいと思います。家電雑誌とかでよくあるベストバイのようなものだと思ってください。

ちなみにですが、私の普段の音楽記事とは全く別のテンションで書いてます。文章のノリがTwitterと同じなので、非常に自分語り成分が強いです。あんまビックリしないでくださいね。


Bray me「DUH」

人間らしく」を耳にして一気に引き込まれたバンドです。あまりにもカッコよすぎたので、すぐさまアルバム一枚聴きこんでしまいました。私は黒木渚とか松尾レミみたいな、ああいうハッキリしたボーカルが好きなので。これが初のフル作品ってことなんですが、デビューは13年でピザデスからもアルバム出してたり。意外とベテランのバンドでした。
今年のベスト出会い枠です。

小山田壮平「時をかけるメロディー」

私のように、青春ド真ん中の時期にandymoriに出会ってしまった世代の人間ってのは、もはや小山田の声聴くだけで情緒が揺れてしまうんですよ。たぶん一生治らないんだろうね。きっと。
これは4年ぶりのアルバムです。ソロになってからは結構フォークロックっぽくなったのかなぁ、とは思ってたんですが、今作はかなりエスニックぽい趣味なんでちょい面食らった感はあります。ただメロディはもう最高の一言でした。「マジカルダンサー」は初見の一発で落ちた一曲です。サウンドはバンドとは全然違うハズなのに、「FOLLOW ME」を初めて聴いた時と同じ気持ちになってしまいました。

ゲスの極み乙女「ディスコの卵」

これも4年ぶりのアルバムですね。最近はジェニーハイとか礼賛みたいな川谷の関連プロジェクトでさんざん楽しませてもらってたんで、そこまで久々感は感じてなかったんですよ。それが実際聴くと、やっぱ「私はゲスが一番好きなんだぁ…」って感じで再認識しました。つくづく。
だから「歌舞伎乙女」とか「ゴーストディスコ」みたいなまさに!って曲が聴けるのがうれしくてたまんないのです。このジャンルもへったくれもない感じがね、良いんですよ。ただ、昔よく言われてた「ヒップホップ・プログレ」とかいう謎キャッチコピーは、未だに意味わかんねぇとは思ってたりはしますが。
でもそんなことはどうでもいいのです。
このアルバムは「シアラ」がとにかく良いのです。

ZAZEN BOYS「らんど」

 久々の新譜系アルバムが続きます。これは4年どころじゃないですが…。私自身ザゼンにそこまでハマってたわけじゃないけど、リリースが近づくにつれ周りの熱量がどんどん上がってくのは感じてました。
ただ、このアルバムを聴いた感想、となったらみんな同じ感じになるんじゃないでしょうかね?
ブルーサンダー」や「チャイコフスキーでよろしく」みたいな、これぞザゼンって感じの気持ちいい反復がある一方で、「永遠少女」や「黄泉の国」みたいな死に接近した歌にはゾッとさせられる、といった具合に。ここまで分かりやすく生生しい曲があるのは意外でした。
私は去年ナンバガ再結成の時のブルーレイを買ったばかりだったんですが、今年の武道館の公演もソフト化するみたいですね。どうやらそちらも買うことになりそうです。

サバシスター「覚悟を決めろ!」

結構前から「タイムセール逃してくれ」って曲が話題になってたんで、面白いバンドだなぁとは思ってましたが、アルバム聴くのはこれが初めてでした。女性ボーカルなんですけど絶妙に低くて心地いい声してるんです。方々で言われてる通り詞は変わってるんですけど、演奏がすごい丁寧だし何よりドラムがシッカリしてるんで超聴きやすいです。そういう意味ではブルーハーツ直系のパンクに似てるかも。
かと思えば「東京こえー」みたいに曲も詞も変な歌もあるんで。油断ならないです。

chilldspot「模様 in Zepp DiverCity」

ライブ盤です。
chilldspotは今年2枚EP作ってるんですが、これはかなりベストとして成立してるセトリなんでこっちを選びました。「未定」と「BYE BYE」を聴いてくれー。
ロックにしてはかなりベースがごりんごりんに響いてて、曲によってはネオソウルって言ってもいいくらい、聴いてて気持ちいい音楽です。低音フェチな人なら絶対気に入るバンドです。あと、よく考えたらこれもさっき言ったハッキリしてる系女性ボーカルですね。

栢本ての「uni」

かやもとさんと読むようです。珍しいお名前ですね。
アコースティック系のSSWのようで、初めて「深層」を聴いたときに、コレはただのフォークじゃねーぞ!ってなりまして。そしたら「芝居」とか「一角獣」とか、面白い歌がゴロゴロ出てきてまぁビックリ。
歌詞もいいです。ジュブナイルな雰囲気だったり絵本みたいな柔らかな感覚だったり印象がどれも違っていて、これから楽しみに作品を追いたくなるアーティストでした。

梅田サイファー「Unfold Collective」

ヒップホップだと今年はMASATAKAとかKaneeeとかかなり面白いアーティストに出会いましたが、アルバムだと梅田のこれが一番来ました。ていうか「Odd Numbers」にハマったんでアルバムをざっと聴きこんだんですよ。そしたら梅田ってこんなウータンっぽかったっけ!?って気づいて、今更90s好きの私の琴線にずんずんと触れていった感じです。R-指定が目立ってるトラックは当然のようにかっこいいけど、「BOW WOW」みたいなトラックが結局いちばん好きです。

佐藤允彦 & 森山威男「Live At Café Oto」

2019年録音とだいぶ前の音源ではありますが、今年のジャズアルバムの話するって時にコレに触れないというのはさすがに無理です。まぁそんくらい良かったってことです。
日本のジャズレジェンドふたりのコラボに、UKの若いミュージシャンがジョイントしたライブで、ロンドン録音だそうです。デュオで19分間ぶちかます「Evening Snow」だけでも十二分にやばいんですが、一番は「わたらせ」と「Chiasma」を演ってるってことに尽きます。それぞれ板橋文夫と山下トリオで、ジャズ聴き始めたころから聴き込んできた、個人的に思い入れのある曲でした。佐藤允彦のピアノてのはフリーキーなときも品があっていいですね。イメージが変わって新鮮です。
ただ、惜しむらくは絶妙に音質がしょぼいんですよ。なんかモリタケのドラムだけ遠くに置いてある感じがしてどうも気に入らないです。これなら大昔に坂田明とやった『ミトコンドリア』のライブの方が、はるかにすごい迫力でしたよ。
でも全体的にとても雰囲気のいいライブでした。ちなみに、聴いててふと思ったんですが、UKのジャズシーンだとこの二人みたいなミュージシャンってどのくらいの認知度なんでしょうね。

ベストバイ【ゲーム部門】

「ポケモンSV スーパーミュージック・コレクション」

ゲーム枠です。とはいえ私はゲームはほとんどやらない人間なんで、24年発表のゲームサントラから一枚ってことで。
今更SVかよって我ながら思いますけど、サントラ自体は今年の発売なんですね。
ストーリーが最高なのはよく話題になりますね。でもプレイしてて思ったのはSVは音楽もかなりいいってことです。戦闘曲は軒並みかっこいいし、Toby Foxが超オシャレな仕事してます。
スター団関連の「戦闘! カシオペア」と「戦闘! スター団」がド定番ですね。Toby Foxの「学校最強大会!」はサックスのテンションが高くて、いわゆる古き良きフュージョンみたいなことを思い切りやっててすごい面白いです。

ベストバイ【映像部門】

ずっと真夜中でいいのに。「本格中華喫茶・愛のペガサス ~羅武の香辛龍~」

Amazonで予約して買いました。最高でした
いま一番熱心に聴くアーティストになってる人たちですが、ライブも最高です。前からなんとなく知ってはいましたが、独特なコンセプトをしっかり具現化する人たちなので、コンサート演出が一貫して面白いんですよね。サブスクでは音源が解禁されてましたが、音だけ聴いた人はちゃんと分かるんでしょうか?
後半の「綺羅キラー」からVTuberがゲスト参加(雰囲気的にサプライズだったのかも)して、ラップのアレンジ付きで演ったんです。これがまたカッコよくて「ナニモンだこの人!?」と思いさっそくググったら、Mori Calliopeっていうラッパーさんみたいです。
初回盤には別音源のCDもついてきて、これもまたいい感じです。この中の「お勉強」は個人的にベストテイクでした。あと「Ham」。

RADWIMPS「BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 2023」

白状すると、22年にバカみたいにハマった「すずめの戸締り」関連の曲をとにかく聴きたくてブルーレイ買ったんですよ。だって「すずめ」のためだけに4Kの再生環境を整えたくらいでしたから。
RADは学生の頃メチャクチャ流行ってました。「いいんですか?」なんかみんな歌えましたものね。だから私も「おかずのごはん」あたりからリアタイでちょいちょい聴いてはいた人たちなんですが、「すずめ」にドはまりしたとはいえRADにここまで入れ込むようになったたのは自分でも意外でした。
でも、いざ映像で見るとかなり懐かしい曲があって、全篇夢中で見てしまいました。「ます。」ってライブだとこんなにカッコいいんだ…とか思ったり、「ソクラティックラブ」やら「なんちって」みたいな懐かしい曲やってるのが結構うれしかったですね。

F・W・ムルナウ Blu-ray BOX

サイレント映画好きとしては、ここ10年で一番うれしいリリースだったかもしれません。このIVCってソフト会社は、ブルーレイ時代になって古典映画をとても高いクオリティで出すようになったんですよ。昔はひどかったんですが。
このBOXはサイレント芸術の最高峰と言っていいムルナウの映画を3作コンパイルしたものです。逆に言えば「この3つで終いなのか」って気もするんですが…。とはいえ映像特典もそれなりのものが入ってるので、まあ決定版と呼んでいいものが出たと言えるでしょう。画質もDVDとは比べ物にならないので、紀伊国屋のクリティカルエディションで持っているファンの方も、迷わず買い換えることをお勧めしたいと思います。
だたサイレント映画のソフト化は、どうも芸術系映画に偏りがちな嫌いがあります。個人的にはルビッチのロマンティック・コメディとかフェアバンクスの冒険劇のような、娯楽モノにもしっかりスポットが当たるようになればいいと思うんですが。それも難しそうですね。

ラスト・ワルツ [Blu-ray]

待ちに待ったブルーレイです。
多くは語りません。
劇場で見たときの感動は忘れらんないですね。

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