「八月の御所グラウンド」で野球をしたのは誰か
直木賞受賞作ということで読んでみた,八月の御所グラウンドでの青春と怪談.
「夏の殺人的な蒸し暑さと、冬の無慈悲な底冷えの寒さを交互に経験することで、京都の若者は、刀鍛冶が鉄を真っ赤になるまで熱し、それを冷水に浸すが如く、好むと好まざるとにかかわらず、奇妙な切れ味を持った人間刀身へと鍛錬されていく。」
そんな灼熱の八月の京都で繰り広げられる,冴えない大学生の日常と非日常.面白い話だった.御所Gだけでなく,農学部グラウンド(農G)も登場する.五山送り火を建勲神社から眺めるというマニアックな場面もある.
本書は,「八月の御所グラウンド」と「十二月の都大路上下(カケ)ル」との二本立てになっている.
「十二月の都大路上下(カケ)ル」も青春だが,こちらは女子高校生の話.毎年都大路を舞台に開催される高校駅伝に参加する女子が主人公だ.女子全国高等学校駅伝競走大会.ほぼ毎年,わら天神の近く(二区)で男女ともに応援しているので,馴染みがある.こちらも楽しい話だった.
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