「カーボンニュートラル・プラットフォーマー」を読んで日本のCN戦略について考える
日本総合研究所の瀧口さんから名刺代わりに手渡しで本書「カーボンニュートラルプラットフォーマー」をいただいた.私自身,これまで環境やCNを主眼とする研究に取り組んできたわけではないし(研究成果に付随してCO2削減が達成されることはある),特に気にかけてきたわけでもない.ホテルの歯ブラシや髭剃りをなるべく使わないようにして,使ったら持ち帰って何度か使うようにするくらいだ.
そんな私が恐らく初めて「カーボンニュートラル」についての本を読んだわけだが,まず,著者の熱い想いが伝わってきた.地球や人類の将来を考えれば,カーボンニュートラルを早期に実現することは不可欠であり,特に他国の後塵を拝している日本は真剣に戦略を考えて実行しないと,これまでと同様に鴨にされてしまうという危機感が強い.
そこで,著者が提案するのが,日本全国とは言わず,先進的な地域で,カーボンニュートラル・プラットフォーマーを作る/育てるということだ.カーボンニュートラル・プラットフォーマーを日本語にすると,脱炭素基盤事業者であり,地域の脱炭素化を先導する中心的な立場を担うことになる.極めて重要な立場だが,自治体がなれるわけではない.瀧口氏は企業が脱炭素基盤事業者となって地域を束ねていくべきであると説く.
先の述べた通り,本書からは著者の熱い想いが伝わってくる.ただ,想いが先走りすぎていて,読みにくい箇所がある.出版社の編集がいまいちなように思う.
2050年にはCNを実現すると宣言したわけだが,海外勢に勝てる見込みがあるだろうか.今のままでは,取り返しが付かなくなるのではないかと危惧している.
© 2022 Manabu KANO.