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本の紹介・読書の記録

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2022年1月の記事一覧

「流浪の月」を読みながら夕食にアイスクリームを食べようか

2020年本屋大賞受賞作ということで手に取ってみた.ファミリーレストランで始まりファミリーレストランで終わる話だ.読んでいる途中,夕食はアイスクリームでいいかと思った.結局そうしなかったのは,それほど自由でないからなのかもしれない. トネリコがどんな植物なのかピンとこなかったので,ググってみた. トネリコって,こんなに大きくなるのか... それほど成長することを期待されながら,でも成長できない自分に気付いてしまったときの,絶望. 成長できず,引き抜かれてしまったトネリ

プロ棋士になる夢を絶たれた「将棋の子」の人生は壮絶だった

とても良かった.日本将棋連盟で職を得て「将棋世界」の編集長を務め,数多くのプロ棋士と交流してきた著者が,プロ棋士になる夢を絶たれた若者たちのその後の人生に目を向けたノンフィクション. 将棋のルールを知らなくてもまったく問題ないし,将棋に限らず勝負の世界に共通する残酷さが胸に突き刺さるので,是非読んでみて欲しい. 舞台は「奨励会」の3段リーグ.奨励会はプロ棋士養成選抜組織で,ここで上位2位以内に入れば,4段に昇段できる.これがプロ棋士になるための必要条件だ. そこには厳し

「太平洋戦争の収支決算報告」で日本の愚かさと損害の大きさに驚く

最も危惧するのは,結局,日本は先の敗戦から何も学ぶことなく,同じ過ちを繰り返すのではないかということだ.本書を読むと,負けると判明している太平洋戦争に特攻する首脳部の愚かさはもちろん,原子爆弾を落とされるまでの無茶苦茶し放題,それによって,そして戦後に日本が被った損害の大きさに改めて衝撃を受ける.本当によく滅びずに,高度経済成長期を迎えられたものだ. 本書「太平洋戦争の収支決算報告」では,序章で「日本が戦争をした理由」を説明した後,以下の4項目にわけて,日本が敗戦で失ったも

環境破壊もBLM運動もポリコレもCOVID-19と結び付けてしまえ「パンデミック2」

グローバル資本主義を叩き潰し,抜本的に社会の在り方を変えないと,この新型コロナウイルス感染症による影響を我々は克服できない.新型コロナウイルス感染症だけではない.地球温暖化も差し迫った危機である.そのような深刻な問題から,その問題があまりに深刻であるが故に,目をそらす人は多い.しかし,それでは未来を閉ざすことになる.危機を危機として受け止め,国際社会が一丸となって解決に向けて取り組まなければならない.資本主義を生き長らえさせたままでは,そんなことは達成し得ない.グローバル資本

「パンデミック」は新たな共産主義を生み出すか

新型コロナウイルスが世界的に流行しだしてすぐに執筆された本で,人類社会の先行きについて論じられている.既存の資本主義と新自由主義は,コロナ禍によって,過去の遺物となる.哲学者である著者スラヴォイ・ジジェクは,今こそ,新しい共産主義の出番であると言う. 実際,市場原理に任せていてはマスクもワクチンも人工呼吸器も十分には行き渡らないため,各国政府は民間に製造を指示した.これは計画経済の在り方だ.また,ロックダウンを含めて,政府が民間の活動を厳しく制限したことで,経済が壊滅的な打