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本の紹介・読書の記録

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2021年8月の記事一覧

「なぜ歴史を学ぶのか」に対する答えは?

「愚者は経験に学び,賢者は歴史に学ぶ」という言葉を聞くと,なるほどそうだなと思える.たとえ,ビスマルクはまったくそんなことを言っておらず,「自分の誤りを避けるため,他人の経験から学ぶのを好む」と言っただけだとしても... 嘘が拡散してしまうと手が付けられない.嘘が井戸端会議で閉じていた頃は良かったのかもしれないが,誰もがSNSで世界と繋がることができて,簡単に嘘を広められるようになった現代において,フェイクニュースは重大問題になっている. しかも,アメリカ合衆国大統領とい

「武士道」の日本語訳を読む

本書も”BUSHIDO: The Soul of Japan”の邦訳本である.最初に,戦前戦後を含めて出版された7つの邦訳本について,それぞれの特徴と問題点を指摘しており,本書の方針が明示されている.ここを読めば,本書を読むべきか,他書をあたるべきか判断できるだろう.一部を除外することなく,原著”BUSHIDO: The Soul of Japan”のすべてを邦訳しているという点で,本書が推奨される.また,全体を通して,膨大な数の脚注が付されている.実際に武士道を読めば分かる

「葉隠(はがくれ)」で武士道を学ぶ

「武士道と云うは死ぬ事と見付けたり」の一節であまりに有名な「葉隠」.佐賀鍋島藩士であった山本常朝が口述し,それを田代陣基が記録したもので,徳川4代将軍家綱の頃のことだ. 葉隠 三笠書房,2004 徳川3代の治世で幕藩体制が確固たるものとなり,武士の生き方も大きく変わってきた時代にあって,山本常朝は,文字通り,自分の生命を賭して主君に忠義を尽くそうと誓っていた.そのような山本常朝が遺した言葉であるから,武士道の聖典とまで言われるのであろう. なお,武士道の書ではあるけれど

不安を煽る政府やメディアを批判する「コロナパンデミックは、本当か?」を読む

2020年の比較的早い時期に書かれた本書は,ドイツで政府やメディアがCOVID-19の恐ろしさを過大評価し,不安を煽り,不必要なロックダウンなどを実施して,国益を損なったと批判している.本書は「反ロックダウン運動のバイブル」となっているそうだ. 著者のスチャリット・バクディは微生物及び感染症・疫病学博士,カリーナ・ライスは生物細胞学博士で,2人は夫婦である. コロナパンデミックは、本当か? ーコロナ騒動の真相を探るー スチャリット・バクディ,カリーナ・ライス,日曜社,20

「スタンフォード式人生を変える運動の科学」で運動の効能を再確認

運動しないよりは運動した方が良い.そんなことは知っている.誰しもそうだろう.ただ,知っていることと実行することは違う.だからこそ,実行する人は強い.圧倒的に強い. 本書は,著者がヒアリングした数多くの印象的な事例を紹介しつつ,心理学や脳神経科学などの知見を交えて運動することが人体に及ぼす影響を説明しつつ,運動の素晴らしさを説いている. スタンフォード式人生を変える運動の科学 ケリー・マクゴニガル,大和書房,2020 ただ,「スタンフォード式」はいかさまだろう.著者のケリ