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不安を煽る政府やメディアを批判する「コロナパンデミックは、本当か?」を読む
2020年の比較的早い時期に書かれた本書は,ドイツで政府やメディアがCOVID-19の恐ろしさを過大評価し,不安を煽り,不必要なロックダウンなどを実施して,国益を損なったと批判している.本書は「反ロックダウン運動のバイブル」となっているそうだ.
著者のスチャリット・バクディは微生物及び感染症・疫病学博士,カリーナ・ライスは生物細胞学博士で,2人は夫婦である.
コロナパンデミックは、本当か? ーコロナ騒動の真相を探るー
スチャリット・バクディ,カリーナ・ライス,日曜社,2020
未だに世界を混乱させ,東京オリンピックにも影を落とした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について,著者は,季節性のインフルエンザと同程度の危険性であり,ロックダウン(都市封鎖)をするのは行き過ぎた政策であり,事実に基づかない政策によって経済を危機的な状況に追い込み,ドイツ国内においても,また世界的にも,経済的弱者を危機的な状況に陥れているのは大間違いであると述べている.また,安全性が保証されていないワクチンの接種を奨励することにも大いに問題があるとしている.
呼吸器系のウイルスは,世界中で主要な致死性の感染症を引き起こしており,毎年2〜3百万人が死亡していると推定される.A型インフルエンザウイルス,ライノウイルス,RSウイルス,パラインフルエンザウイルス,アデノウイルス,コロナウイルスなど多くのウイルスがその原因となっている.今,これに新しいメンバーが加わった.他のウイルスと同様に,SARS-CoV-2ウイルスによる病気は,とりわけ既に他の病気を1つ以上抱えた高齢者にとっては危険である.国や地域によって違いはあるが,全体的には感染者のうちの0.02%〜0.4%の人々が死亡する.これは季節性のインフルエンザとほぼ同じである.
日本でも,感染者数や死者数をはじめ,様々な数値の基準が曖昧で信用できないことが指摘され,批判され,あるいはそのような数値が都合良く利用され,それでも改められることなく放置されているが,ドイツでも似たようなものらしい.というか,世界的にどこでも同様らしい.
自分で情報を集めて分析して判断して行動すべきなのかもしれないが,そんなことをできる能力や時間がある人ばかりではないし,SNSは無法地帯だし,COVID-19による社会の分断はまだ続くのだろう.
それにしても,データや事実に基づかない,根拠のない政策を濫用するのはやめてもらいたい.
© 2021 Manabu KANO.