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本の紹介・読書の記録

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2020年4月の記事一覧

経営者の条件 - 学生に読んでおいて欲しい本

原題は”The Effective Executive”であり,ドラッカーの著作であることから,これが「経営者の条件」と邦訳されたのだろう.だが,この邦題は誤解を招く恐れがある.というのも,本書の対象は決して「経営者」ではないからだ.組織において意志決定を行う知識労働者すべてが対象である. P.F.ドラッカー,「経営者の条件」,ダイヤモンド社,2006 今日の組織では,自らの知識あるいは地位のゆえに組織の活動や業績に実質的な貢献をなすべき知識労働者は,すべてエグゼクティブ

話し方入門 - 学生に読んでおいて欲しい本

デール・カーネギーの名著「話し方入門」には,人前で上手に話すための秘訣が書かれている.もちろん,単なるハウツウではない.人に伝えたいと切望するものがあること,周到に準備をすること,練習に練習を重ねて自信を持つこと,始め方と終わり方に注意すること,わかりやすく話すこと,そして,美しい言葉を身に付けることなどが挙げられている.人前で話すことの重要性を認識し,上手に話せるようになりたいと願う人にはきっと役立つはずだ. 先に,お勧めの書籍として,デール・カーネギー(Dale Car

人を動かす - 学生に読んでおいて欲しい本

自己啓発系の書籍で,私が心から素晴らしいと思っているのが,このデール・カーネギー(Dale Carnegie)の「人を動かす」だ.良い人生を送るために,どのように人に接するべきか.人を味方にし,友を増やし,心豊かな人生を送るために,どのように人に接するべきか.この本には,豊富な具体例を添えて,人心掌握の原則が書かれている.学生にも読むように強く勧めている本で,実際,読んだ学生からは圧倒的な支持を得ている.人生を変える一冊になるかもしれない. D・カーネギー,「人を動かす」,

博士課程進学という決断:青年の大成 - 学生に読んでおいて欲しい本

本の話をする前に,博士課程進学という決断について自分自身を振り返って,まとめておきます. 決断 私自身の場合,もう20年近くも前のことになりますが(注:この文章を書いたのは2012年),修士課程在学中に博士後期課程に進学する決断を下したのは,「この研究室で,このスタッフの下で,あと3年間頑張って勉強や研究をして実力をつけたら,後は自分で何とかなる」と判断したからです.もちろん,友人も含めて,ほとんどの学生は誰でも名前を知っているような大企業に就職していくわけで,給料が貰える

「読みたいことを、書けばいい。」で書くことを学ぶ

青年失業家を自称し,ライターとして活躍している元電通マンによる,文書でなく文章の書き方指南.面白かった. 文筆家として生計を立てるとまではいかなくても,物書きになりたい,自分の書いた文章を読んでもらいたいと望む人は多いのだろうか.まあ,私もこうしてnoteを書いているわけですが… 田中泰延氏の何が凄いかと言えば,その徹底的に調べ上げる姿勢だ.本書にも「物書きは調べることが9割9分5厘6尾」だと書いてある.とにかく徹底している. 調べるといってもググるわけではない.それも

大学や大学院で身に付けておきたい力

毎年,研究室に新しく入ってきてくれた学生に,あるいは研究室配属を前にして研究室を見学しにきてくれた学生に,研究室で取り組んでいる研究テーマに加えて,必ず伝えていることがあります.それは,指導教員として学生に何を求めているかです. 大学や大学院は教育機関ですから,研究室での研究を通して身に付けて欲しいものがあります.私が,学生に大学や大学院(修士課程)で身に付けて欲しいと考えているのは,以下の4つの力です. 必要な知識を自分で修得できる研究室に配属されて研究を始めたばかりの

大学新入生に伝えた(い)こと

本日(2020/4/11, Sat),京都大学生協による「京大新入生のためのビジョンナビセミナー」が開催され,そこにパネリスト&講師として参加しました. 今年は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で,入学式はなく,講義もゴールデンウィークまで休講が決まっており,4月なのに吉田キャンパスに学生がほとんどいません.例年のように新しい友達を作る機会がなく,色々と戸惑っている一回生も多いと思います. 講演では,大学について,自分の研究について,など色々と話しました

学生時代に不勉強だった人は,社会に出てからも,かならずむごいエゴイストだ

ある16歳の日記.四月十七日.土曜日. 或る英語の時間に、先生は、リア王の章を静かに訳し終えて、それから、だし抜けに言い出した。がらりと語調も変っていた。噛んで吐き出すような語調とは、あんなのを言うのだろうか。とに角、ぶっきら棒な口調だった。それも、急に、なんの予告もなしに言い出したのだから僕たちは、どきんとした。 「もう、これでおわかれなんだ。はかないものさ。実際、教師と生徒の仲なんて、いい加減なものだ。教師が退職してしまえば、それっきり他人になるんだ。君達が悪いんじゃ

【読書】FACTFULNESS(ファクトフルネス)

主著者であるハンス・ロスリング氏の医師としての人生経験が強烈で,説得力が半端ない.自分がどれだけ世界についての知識のアップデートを怠ってきたかに愕然とさせられる.クイズにまるで正答できない.まさにチンパンジー以下だ.(泣) ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,「FACTFULNESS(ファクトフルネス) ー 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」,日経BP,2019 今の世界について知っているか?例えば,以下のよう