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大学新入生に伝えた(い)こと

本日(2020/4/11, Sat),京都大学生協による「京大新入生のためのビジョンナビセミナー」が開催され,そこにパネリスト&講師として参加しました.

今年は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で,入学式はなく,講義もゴールデンウィークまで休講が決まっており,4月なのに吉田キャンパスに学生がほとんどいません.例年のように新しい友達を作る機会がなく,色々と戸惑っている一回生も多いと思います.

講演では,大学について,自分の研究について,など色々と話しましたが,大学一回生に伝えておきたいメッセージ(実際に講演で伝えたメッセージ)をここにメモしておきます.

しっかり勉強しよう

人文科学・社会科学・自然科学・語学のどれも大切です.自分が所属する学部学科に直接的に関連するものだけでなく,色々なことを勉強しましょう.そうすることが,人生を豊かにし,正しい判断をする礎となります.疑似科学やデマに簡単に騙されないためにも,知識のアップデートが重要です..

大学を使い尽くそう

大学では,あらゆる分野の世界トップクラスの研究者と話ができます.あらゆる分野の論文が読み放題です.留学などの機会も盛り沢山です.

このような環境は大学では「あたりまえ」であって,特に凄いことだとは思わないかもしれません.でも,大学を卒業して,あるいは大学院を修了して,大学を離れてから,大学の環境がいかに素晴らしいものだったかに気付く人は多いです.在学中に大学を使い倒しましょう.

そのためには,大学にボーッと在籍しているだけではいけません.大学は素晴らしい機会を用意していますが,その機会を活かすも殺すも自分自身です.自分で積極的に掴み取りにいきましょう.

アルバイトをしすぎない

経済的な事情でアルバイトが必要な学生もいるでしょう.大学外の友人を作れるなど,アルバイトの良い面は色々とあります.それでも,アルバイトをやりすぎないようにしましょう.

有能な自分の貴重な時間を安売りするな.

これが理由です.

時は金なり
(ベンジャミン・フランクリン)

この言葉はよく知られています.もっと皮肉が効いているのは,古代ローマ帝国の政治家で,ストア派の哲学者でもあるセネカの次の言葉です.

自分の銭を分けてやりたがる者は見当たらないが,生活となると誰も彼もが,なんと多くの人々に分け与えていることか.財産を守ることはケチであっても,時間を投げ捨てる段になると,貪欲であることが唯一の美徳である場合なのに,たちまちにして,最大の浪費家と変わる.
(セネカ,「人生の短さについて」,1982)

ほんとにそうだと思います.

成果の限界を規定するものは最も欠乏した資源である.それが時間である.
(P.F.ドラッカー,「経営者の条件」,2006)

これは,経営の神様と称されたドラッカーの言葉です.知的労働者が成果をあげるためには,時間を徹底的に有効に使うことが大事であると一貫して述べています.

アルバイトで収入は得られます.しかし,それは,自分の時間や労力を引き換えにしてのことです.失うものの重要性をきちんと評価しましょう.

本を読もう

年50冊,一週間に一冊,読むことを目指しましょう.難しい本を読まなければと気負う必要はありません.好きなジャンルの本から始めましょう.

いずれ,古典や名著といわれる本も読むといいと思います.長い間,多くの人々に読み継がれてきた本には,それだけの理由があります.それは読まなければわかりません.

年50冊は一つの目安ですが,良い本をたくさん読めば,人間としてレベルアップします.読んだ人はそれを実感できます.だからこそ,読書を勧める人が多いわけです.

色々な体験をしよう

スポーツ,芸術,旅行,何でも構いません.色々なことをやってみましょう.知っているのと実際にやったことがあるのとでは全然違います.とにかく,やってみることです.その中から,何かにのめり込みましょう.

大学で勉強や研究を一生懸命にするのは当然ですが,それだけでなく,学生時代にこれを極めたと言える何かを持てるといいのではないかと思います.

このような状況下ではありますが,新入生の皆さんが充実した大学生活を送れますように.

© 2020 Manabu KANO.

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