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전선을 간다

『ソウルの春』を観る。
いやはや面白かった。
俺はユナイテッドシネマの貯まってたポイントを全放出して実質タダ観したのだが、普通にニ千円払っても良いと思えるくらいには面白い。
俺が今年公開の映画で面白いと思ったのは今のところ『バッドボーイズ』だが、この映画はああしたポップコーンムービーとはまた違った面白さがあり、そういう視点で語るなら今のところは今年一番に面白い。
常に状況は動くし、サスペンスもあって非常に出来が良い。敵役の魅力も抜群だし、画も安っぽさがない。さらには結構人が死ぬ。いいね。
だが話が重いのと、常に緊迫感が漂っているので(もちろん緩急はついているが)、多分自宅だとキツくて観れなかったと思うのであった。前に書いたと思うけど、俺は緊張感が苦手だから敗北確定系クライムアクション映画を積極的に観れない性質を抱えている。そういう意味でも映画館で観て良かった一本である。

だが、やはりというべきか韓国映画って面白いのが多い。俺が知ってるのはあまり多くないが、それでもポン・ジュノ作品だの『人狼』だのを観る度、何故に本邦はしょうもない映画ばかりなのかと悲しくなってくる。中国がスーパーティザスター映画作ってる傍らでお茶の間で食器カチャカチャしてる本邦の映画の情けない体たらくに涙を禁じ得ない。韓国はカルチャーを売りにしている国家なこともあってこういうのは強いと再認識したのであった。

しかし〜の春と名のつくイベントでその後良い思い出になった事はあんのかね、と思ったり。

あと、観て俺が興味深いと感じたポイントが二つあった。
一つは社会というか、組織を成立させるシステムというものが持つ合理性の恐ろしさについて。
この映画では、それこそ所属が違うだけの同国民が割と普通に撃ち合ったりする。友人ですら上からの下達に従って射殺してしまうのだ。
これの何が恐ろしいって、俺たちがリアルでやっていることだからだ。例えばみんな大好き「お仕事」。これも特にやりたいと思ってないけど、上司からあれやれこれやれと言われればやらねばならぬ。休日に出勤することも避けられないし、平日も嫌々ながら早い時間に起きたりする。
こうした俺らの中に割と当たり前のように染み付いている性質が、半分戦場の状況にすら顔を出してしまうのはやはり恐ろしいなと思うのであった。
それってつまり俺の世界で戦争が起きてもそうなるってことじゃん。怖。

二つ目は韓国という国家の、本邦とは異なる生態について。
この映画、どちらの陣営も、相手を説得するための方便として「俺らが殺し合ったら“北”が攻めてくんぞコノヤロー」と言い合っている。つまりそれだけ生々しく北と戦時下にあることを意識しているのが伝わってくるのだ。こういう感覚は島国住みの俺からするとあまりない。敵が海を越えてこなければならないという点で立地的に割と安全が保証されている感がある(割と)。
地理的にも近いし、文化や風土も似通っている感覚があるお隣さんであるが、徴兵制を採っていたりと、割りかし軍事国家的な面を持っているよなと感じる。
漫画『亜人』でラスボスの佐藤が、「日本人弱いから徴兵制のある国(韓国)行って荒らしてくるわ」というような物言いをしていたが、それも頷けるというものだ。

こうなってくると今度公開の『シビル・ウォー』も楽しみになってきた。観比べてみたいものである。

みんなロムルスもデップーも観なくていいからこれを観てほしい。本気でそう思う。
ロムルスとか人生に必要ありません。

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