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結婚相手はちゃんと選びましょう

オーディションを観る。
実を言うと俺は三池崇史という映画監督が好きだったりする。明確に意識し出したのはクローズZEROで、人間を殴る時のインパクトがしっかりと出ているのに興奮した。個人的にアクション映画とは質量が重要だと考えていて、AからBへと何かが叩き込まれるインパクトをしっかりと感じさせないと妙に締まらないものになってしまう。そういう意味でクローズZEROはインパクトが充満しており、この三池監督の演出に惚れ込んでしまった。
それから(なんやかんや言われている)悪の教典を観ていよいよ天才を確信したところで、テラフォーマーズやら神さまの言うとおりやら、しょーもねー雇われ漫画実写化映画に出くわし、ちょっと距離を置かせてもらっていた。
だが、このオーディションに関しては「おお!」と思わされた。
これはすごい。
俺は映画を観る時はまず「観ていられるか」ということを重視している。このオーディションに関してはかなり観ていられた。映画素人なんで詳しいことは分からないが、照明がけっこう凝っていて、そうした様々な光源とレイアウトによって目が楽しく、中々飽きない。テンポも良く、割と話はまったりなのに、ダッチショットなどを効果的に活用することでどことなく不穏な雰囲気が漂っているのも好印象だ。
個人的にはイージーライダーのような悪夢映像がよかった。俺はああした夢と現実が混然と入り混じる、謎の時間が大好きだ。
映画というのは視覚に依るところが大きい表現媒体だ。逆に言うとそこで描かれてしまったものは全て起こってしまうということだ。パンチ一発で人を殴り殺せるし、銃弾もバシバシ避けられる。
つまり、
「そうはならんやろ……」
「なっとるやろがい!」
が成立してしまうのだ。そのため、先述の時空や因果を完全に無視し、何処ともしれない風景を見せられても「なるほど……」と受け入れるしかないのである。映画とはめちゃくちゃをやっても(面白ければ)許されてしまうところが面白いところだ。
俺は不条理展開が嫌いだ。だがそれは不条理であることの楽しみを引き出せていないものに限った話であり、この映画のめちゃくちゃさはめちゃくちゃ面白い。Cloudとは別種の不条理的な面白さがある。

この映画はハリウッドに影響を与えたという前知識だけを知っていたので、まさか「キリキリキリ」の元ネタがこの映画と知ってびっくり。SAWのようなトーチャーポルノにも影響を与えたとのことで、確かに画面の色味は似ているところがあるなと思った。

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