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#小説
星海を掃く者 ―ANYTHING < HUMAN―
〈青耀〉がゴルディアス同調によってその指令を受け取ったのは、彼が零点振動リパルサーで恒星『全天星表番号69335688922687829160204592150189』系の第十二惑星に住む蒼生の頭上に、第二衛星を落とした時だった。奴婢共がダイソン球建設のための立ち退き要請に抵抗したためである。
“帝国”こと〈大八巨大数洲〉は上古より蒼生の頂点に御して多元宇宙に照臨し、自らの御稜威でもって乾坤か
Memory of the ghost.
幼い頃、幽霊が怖かった。
夜八時に入るベッドの下はいつも暗闇で、そこに何か恐ろしいものが潜んでいて、何か恐ろしいことをぼくにしようとしているのだとずっと思っていた。寝る前のひとときは常に恐怖と共にあった。
ぼくがそれを克服できたのは兄の助言によるものだ。怖がるぼくに兄はこう言った。怖がることはない。ベッドの下には何もいない。お前が恐れているのはただの幻想で、そこを覗き込んでみれば恐怖は消えて
灰被りの魔女 ─ バトルプリンセス・シンデレラ ─
「出てこいババァ!」
深夜、爆音と共に屋敷の扉が破壊されたかと思うと、現れる人影/少女。
背後に大輪の月を頂く姿は一見、高貴な出自の魔女に見える。だが、先ほど発された粗野な言動や、殺意にギラつく瞳が、決してそのような上質な生を送ってはいないことを示していた。
少女は全身が地味な灰色の襤褸で覆われていたが、唯一その隙間から覗いた白く細い脚が突っかけた、ガラスで編まれた靴が月明かりに照らされて輝