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娘と観たNetflix版「阿修羅のごとく」、破壊と再生の物語。⚠️ネタバレしすぎ!
三谷幸喜が「阿修羅のごとく」はセリフとそれを話す人物の思いがすべて違うところがすごい、と言ったとなにかの記事で見た。
まだ、視聴している途中のことだった。
「鎌倉殿の13人」の脚本で彼が向田邦子賞を受賞していたことを知った。
あまり大河ドラマを観ない私が久しぶりに継続視聴したものだった。
セリフを耳で聴きながら頭をぐるぐる巡らせて本心を探る。
たしかにそういうドラマだった。
それが見応えになっている。
「阿修羅のごとく」は私が生まれてすぐの頃の物語。
2009年生まれの娘には初めて見る有線の電話機、客が煙草をスパスパ吸う飲食店、ボクシングに熱狂するひとびと。
不思議な髪型・服装に、本音を言わない男女。
私にはぼんやり懐かしい光景を思い出して解説しながら、登場人物の本心、真相を予測し合ったり、このアングルや表情が不穏だ、とか赤色の使い方、オープニング映像にリンクしたシーンについて気づいたことを言い合った。鏡餅の食べ方を真似して、薄く切って油で揚げて塩をかけて食べてみたりした。
私が生まれたのは、巻子と鷹男のような表面上はうまくいっている家庭だった。
だが、母はそもそも巻子のような女ではなく、崩壊家庭で育ったのを隠したくてずっと自分を偽っていたため、私が中学2年の時に綱子に変わってしまった。元に戻った、というのか。
そういう母の話し相手をしていた私は、滝子のように生きるべきだとしばらくは考えていた。ほんのしばらくは。
けっきょく、高校を卒業したら咲子のように正しさをどこかで馬鹿にするような暮らし方をしていた気がする。
自分だけの道を見つけるんだと。
妊娠して現実を知った私は、巻子になった。
自分でも笑っちゃう。信じられない、いまでも。
いろんな解決すべき自分の課題があるのに、ひとのことばかり気にしている巻子。どこも悪いところがない巻子。
だけど、娘の洋子はよく見てるんだよね。
母が壊れようとしないから、先に殻を破るところを見せるの。
それで救われるんだよね。
あのシーンを見て、こどもを犠牲にしていると感じるひともいるかもしれない。
私は、正直でいいと思った。
洋子が素直に育ってる証だと思った。
私の娘もたまに洋子みたいになっちゃうことがある。
私のせいだし、彼女の人生にとって必要なことなのかもしれないとも思う。
具現化、表面化できるだけ私たちは健全だとも感じる。
巻子は鷹男と別れないし、洋子はグレたりしない。
女が互いに影響し合って本音を見つめる。
それだけのこと。
はじめは全員イライラしてたんだよね。
だけど、ぶつかり合って、やっぱり私は変えられないと気づく。
みんな頑固でかわいかった。
不器用でいじらしくて。
誰のなかにも、彼女たちのように、
現実を頑なに見ようとしない、悪癖を変えようとしない、大問題が発覚するまで!
そういうところがある。
私も咲子みたいなバカをやったことはあるし、滝子みたいに偏っていたときもあったし、巻子みたいにお節介焼くし、綱子みたいに非常識だ。
けっきょく正しい人間などいなくて、その都度の正解、最適解を探して右往左往してるだけ。
ドラマで俯瞰してみると、恥ずかしいようないとおしいような、自分の駄目さを肯定してもいいような気持ちになった。
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配役が隅々までスパッと決まっていて、爽快だった。
四姉妹は言うまでもなく、いまこの時しかできないお芝居だった!
彼女たちの、いまの年齢での最高潮を見た。
四人とも俳優としてのイメージとは裏腹な役柄であることが面白さと興奮を搔き立てた。(元祖のNHKドラマ版の四姉妹もいい。)
内野聖陽と夏川結衣はいつも120点。好き。
本木雅弘がハンサムだと娘がひたすらに誉めていた。
伊右衛門さんと同じひとには見えない、と。
陣内役が映るたびに「マカロニえんぴつ」って娘が言った。
啓子と友子の佇まい、このひとがいい!合ってる!と私的にビンゴだった。
是枝裕和監督の作品はいつもそうだが、食事とお料理のシーンが癒しだった。
母のふじがラジオに投書した「三姉妹」の真相の考察、娘がネットで見たものが怖すぎた…。
覗いてくれたあなた、ありがとう。
不定期更新します。
質問にはお答えしかねます。
また私の12ハウスに遊びにきてくださいね。