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赤ちゃんとおとなが眠るための音楽。

10歳の息子は夜寝かしつけてほしいと言う。
「勝手に寝ろ」と放置していたらそのうち寝るのだが。
 
出産後すぐに、産院の個室に持ち込んだタブレットで見つけた動画がある。
2013年の息子の誕生日の2か月前にアップされたYouTube Kidsの動画だ。
いまは名前を変えたりタイトルをさまざまな言語に変えたりした同じ曲の動画が出回っているが、私が見つけたものはずっと広告が付かないまま1時間以上同じ曲が流れて、寝かしつけのときに聴かせられる。

5歳くらいまで夜、毎晩枕元でこの音楽を流していた。
それで気持ち良く寝入ってくれた。
シタールの音、と説明にはあるんだけど、かわいらしい電子音と魚や鳥のあくび、泡の音、すべて心地良くて、よくできているなぁと感心する。
私もうっかり寝落ちしたものだ。

最近はさすがに赤ちゃんじゃないので、本人の希望でAMラジオにスリープタイマーをかけて流している。
内容は何でもいいらしい。アイドルのおしゃべりでも海外の音楽でも気にしていない。
息子は怖がりだから、何か音がほしいのだろう。

息子が寝付けないときは運動不足の日だと思う。
まだ元気が有り余っているのだ。
すごく疲れていれば大抵こどもは放っといてもコテンと寝る。
なかなか寝ないときは足、特にかかとのマッサージをする。
ダメなときは首とか頭もする。
ニヤニヤして起きてたら全身をこそばして緊張と弛緩を繰り返す。
するとだんだん飽きて寝る。

私は眠れない、という日があった記憶がない。
明日、久しぶりの友人に会えるのが嬉しくて興奮して寝付けない、ということは何度かあった。(恋人が相手では断じて起こり得ない。なぜだろう。)
寝付けないと眠れないは何か違う気がする。
寝付けないというのは楽しくてまだ何かしたくて興奮している状態なので、収まるまで何か視聴してもう起きてられなくなったら寝る。(夜中過ぎてもアホみたいに起きてる場合がある。それで困ってたりしない。)
眠れない、ってどんなだろう。
基本、深く悩んだり不安になったりしないから(やっぱりサイコパスかな?)、なんとなく眠れないという感覚はない。
暗くして布団に入ったら最高の気分で落ちる。
けっこうイケナイことをしてしまった日でも関係なく眠る。
何かが怖いというのもない。
明日生きて目覚めればいいや、と思う。
いい加減なものである。

震災にあったときは早朝で、眠ったまま逝けたらと思って(活断層がある地区だったので激しく揺れた、天井が落ちる、もう終わりだと思ったけど)二度寝しようとしたら隣にいた母が食器棚の盛大に倒れる音を聞いて確認しに行ったので、仕方なく起きた。皿はばらばらに砕けていた。
その後も夜は毎晩何も考えずに寝ていた。

何かがあるときはあるし、ないときはない。


私はそのように考える。
突発的な状況は震災より以前に家庭環境のなかにあったので、肝を冷やすのには慣れてしまっていた。身の危険は災害のほかにもあった。
最初の揺れで助かったときに私はこれでは死なないのだ、と思った。
何年生きられるかまではわからないが。

眠れることは最大の贅沢で幸福だ。
おいしいものを食べるより、すてきな性交より。
どれも欠かせないけれど、私は睡眠が大事だ。

どんな辛いときも眠ったほうがいい。たとえ昼でも。
眠剤はあまりよいものではないと思うので、できればなにかつまらない物語を読むとか、難解なテキストを読むとか、耳栓するとか、やさしい音楽を聴くとか。
明日、生きて目覚めればいいから。
寝たまま逝ったら仕方ないよね。仕方ない。
だからもう寝よう。
おやすみなさい。


覗いてくれたあなた、ありがとう。

不定期更新します。
質問にはお答えしかねます。

また私の12ハウスに遊びにきてくださいね







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