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【料理代行】 3年間の振り返り 前半〜代行会社での勤務〜
こんにちは。
最後のご依頼を2023年10月に終え、それからずいぶん時間が経ってしまったのですが、2020年10月〜2023年10月までやっていた料理代行業の振り返りを残しておきたいと思います。
というのも、まだまだ料理というジャンルではマイナーな「料理代行」
私も始めるとき、他の人がどうやっているのか?という情報があまりなくて苦労したので、3年前とはもちろん状況は変わっているとは思うのですが、これから始める方や興味のある方の参考になれば幸いです☺︎
1、始めるまで
まず私の料理代行とのお付き合いを時系列で示すと以下のような感じです。
2019年秋 料理代行業という存在を知り民間の代行会社に登録する
2020年秋 代行会社を通して初めてご依頼を受ける
2021年夏 個人でご依頼を受けるために独立 (開業)
2023年秋 転職(就職)に伴い閉業
今さらですがみなさま「料理代行業」って何かご存知でしょうか?
家政婦の志麻さんを思い浮かべる方もきっと多いでしょう。代行を始めた当初、私は志麻さんの存在自体を知りませんでしたが、今は知名度にのっかって、そうそう、志麻さんがやっているアレです☺︎と説明しちゃってます。笑
大きな括りとしては「家事代行業」そのうち「料理」を代行する仕事が料理代行と呼ばれているのが現状だと思います。
私の場合、実際にご依頼を受け始めたのはCOVID-19の流行を受けて店舗勤務をやめてからのことでしたが、そこから遡ること1年前、2019年の秋に民間の家事代行会社へスタッフ登録を済ませており、その際研修とスキルチェックを終え、いつでも仕事を始められる状態ではありました。が、店舗で働いていたこともあり、まだ必要に迫られてはいなかったため、依頼を受けないまま1年が過ぎてしまったということになります。
というのも、私の場合すぐに始めたくて登録したというより、お店で働く以外の選択肢を検討したくて、まずは登録してみたという感じ。初めての依頼に伺ったのは2020年の10月だったと思います。
余談ですが、代行会社のスキルチェックは、40分で用意された食材で3品をその場で考えて作る、というものでした。難易度はそれほど高くないけど、ストップウォッチを構えられテスト感はありました。
研修は、依頼の応募の仕方や実際の(お客様宅での)入室から退室の流れ、食中毒対策や衛生管理の基本的なことについて。
もちろん個人でも受けることができるお仕事ですが、不安な方は、一度代行会社に登録して概要や流れを理解したり、実際にご依頼を経験してから独立するのもありだと思います。
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2、実際の流れ
では実際に始めてから、どのように料理を提供していったのかをみていきましょう。
もともと私は飲食店で長く料理をしてきたというわけではなく、調理師学校的なものにも通ったことはありません。
20代の頃、ほぼ無職でリゾートバイトで生計を立てていた時期に、どこでもできて、仕事が見つかりやすいという理由で料理の仕事を始めました。(この時期のことはこちらの記事に詳しく書いています)
リゾートバイトとは全国の温泉やビーチ、スキー場など主に観光地にあるホテルや旅館などの施設にて「住み込みで働くお仕事」です。
料理が大好き!というタイプではなく、できたほうが都合がいいくらいの不純な動機で始めたものの、結果として続けてこられたことを考えると、好きは好きなのだと思います。
「出張シェフ」「出張料理」は求められる専門性と期待値が高く、その分単価も高く設定できますが、料理そのものを専門的に学んだ時間がなく、何年も同じお店に勤めるなど、まとまった経験ももっていない自分にとって、料理代行は始めるハードルは低い仕事ではありました。
私が登録していた代行会社の、依頼への応募から実際に伺うまでの流れはこんな感じ。
1、募集中の依頼へ応募 (挙手制=早い者勝ち)
2、マッチング成立
3、お客様へご連絡
4、当日つくるメニューについてヒアリング、ご提案など
5、必要があれば食材リストなどを送る (当日あるもので作る場合は無し)
6、サービス当日( ここは後述します )
7、フィードバックをいただく(お客様の任意投稿)
意外と段階は多めでしょうか?
みなさんはどう感じますか?
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3、当日の流れ
ボリュームがあるため上では省いた当日の流れについて詳しくお伝えします。私の場合は1回のご依頼が基本3時間、流れはざっとこんな感じ。
1、お客様宅へ到着、料理代行サービスに伺ったことを伝え、入室
2、キッチンをご案内いただき、身支度を整える
3、事前に伺ったご要望を確認する(これも長くなるので後述します)
4、キッチンでの注意点やモノの場所などをお客様に確認する
5、作業中不明点があった場合、お声がけをしても大丈夫か確認する
→リモート会議などで声がけNGな時間帯は先に聞いておく。基本的には
終了までこちらからのお声がけはしません。
→途中で外出します、などお客様から伝達事項があればこのときに教えてくださいます。
6、作業開始→終了
7、作った料理のご説明と質疑応答
8、退室
訪問時、お客様が不在というケースはほとんどありませんが、その場合は当日依頼時間の前後数時間だけ電話が繋がるので、こちらにお電話します。
(プライバシーの観点から代行会社を挟んで繋がるため、お客様ご本人のお電話番号は知らされず、逆に私たち訪問スタッフの電話番号もお客様には開示されません)
たいていは「子どものお迎えにいってて、今帰ってます!」とか「買い物に行ってて、もう着きます!」みたいなケースなので、そのままエントランスにてお待ちすることになります。
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4、 ご希望はさまざま(本当にいろいろ!)
では、ボリュームがあるため上では省いた「ご要望」についてお伝えします。
お客様のご要望は、依頼に応募する前に知ることができます。
代行会社によって、応募時のご依頼の表示の仕方は異なると思いますが、
・お住まいの地区、最寄駅
・依頼日時
・ご要望(希望する料理、メニューについて)
少なくとも上記3点については開示されているでしょう。スタッフ側が応募に必要な情報だからです。
ご要望については
・リクエストしたいメニュー
・使用してほしい / ほしくない食材
・好き嫌い
・仕上げの状態
→下味冷凍や揚げ物の衣付けまでなどその場で仕上げないこともあります
・主菜が多め、副菜が多め、和洋中のバランスなど
上記のようなことが語られます。
順に見ていきます。
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リクエスト
リクエストメニューは可能な限りお応えします。
時間がかかる場合や難易度が高い場合は、どこまでなら実現可能か予測をお伝えして、お客様に優先順位を決めていただいていました。
たとえば、カニクリームコロッケのリクエストがあった場合は、
・レシピを調べてその通りにお作りすることはできると思っていること
・ただ、作った経験が豊富でないため時間が余分にかかるだろうこと
・同じく経験が乏しいため、ご期待どおりに仕上がるかお約束できないこと
上記のようなことをお伝えします。
それでもお願いします!という場合もあれば、作り慣れたもので品数ができあがるほうが助かるので今回は別のリクエストにします!という場合も両方あります。いずれにせよ決めるのはお客様です。
逆に、得意料理でお願いします、というパターンもあります。
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使用してほしい / ほしくない食材
お客様からその日に優先的に使ってほしい食材の指示がある場合。
このアスパラ、もう古いから使い切ってほしい、から始まって、
・明日が燃えるゴミの日だから、今日は魚を使ってほしい
・実家から大量に届いたこの野菜の量を減らしてほしい
・今週ふるさと納税の返礼品が届くから冷凍庫のスペースを空けてほしい
などですね。具体的すぎますでしょうか。それもそのはず。本当にあった要望ですから。笑
逆に、これは自分で料理するなど、手をつけないでほしい食材も指示があります。
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好き嫌い
使用食材の指示と繋がりますが、好き嫌いは家族の中で分かれることが多いので、限定的に使ったり使わなかったりする食材があります。なかでも、
大人は大好き、子どもはNG
というパターンはとても多いです。辛いものや、味の濃いもの、苦味のあるものなど、大人が欲していても、子どもには食べさせたくない(または食べられない)もの。たいていはお子さん優先の献立になります。子ども分を代行に任せられるから、大人分を好きにできるという側面もあるようです。
あるいは、三世代のご家族で、おばあちゃんはこってりしたものや固いものがもう苦手だけど、お孫さんは食べ盛りで肉料理大好き!みたいなことも。
誰かに合わせる場合もあれば、みんなが揃って食べられるものを優先する場合もあります。また、数品ずつ好み合わせて分けてお作りすることもあります。こちらも、お客様に決めていただくようにしていました。
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仕上げの状態
フルタイムで働かれている方の中には、帰りが遅い方も多く、できあがったおかずを冷凍・冷蔵して平日のメインに充てるという方も多かったです。
(時間がない)平日5日分の作り置きをお願いしたい。というご要望がすごく多いんですね。週の前半に依頼が集中する傾向があるのもこのためかと思います。
ただ、やっぱり出来立てがおいしいので、仕上げは自分でしたいという方もいます。そういった方々には「仕込みまで完了させておく」という提案ができます。
・肉や魚、野菜などの食材を切って味付けをしてから冷凍しておく
・肉や魚をカットして、衣をつけてから冷凍しておく
などがそれです。下味冷凍とは。
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主菜と副菜、和洋中のバランスなど
これは、全体のバランスを確かめるために伺います。
3時間で8品〜12、3品はお作りすることが多かったので、その中でのバランスの話です。
和食を希望される方が全体的には多かったように思いますが、自分では作らないものをリクエストしたい方もいて、そういうときは洋食が多かったような気もします。
主菜と副菜のバランスとしては、主菜を多く仕上げてほしいという方が圧倒的に多かったですね。
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5、調理の技術以上に大事なこと
ご要望に関連して、ひとつだけ、これから料理代行サービスをされる方は知っておいたほうがうまくいくのでは?というポイントを書いておきます。あくまで私の考えですが。
それは、「おいしいは前提で考える」ということ。
それ以上のところでお客様が何をしてほしいのか(あるいはしてほしくないのか)に焦点を当てるようにしていました。
もちろん、おいしいものを時間内でたくさん作ってほしいんですよ。基本的には。
リクエストも好き嫌いも伝えてもらっています。それはそうなんです。そのとおりにやったらいいんです、基本的には。
で、それ以上にどんなことが実現されたらいいのか?を自分で考えます。
頼まれてはいないんですが、意外にこれをやらない人が多いのかもというのは、お客様の反応から読み取ることができました。
自分にとってはごく当たり前だと思っていたことが、相手にとってはそうでないようだ、ということがよくあったんですね。
具体的に伝えてもらったこと以外にどれだけ精度たかく読み取れるかが大事だと思うんです。どんな情報があったら、もう1つ何か貢献できるか。
初見のご挨拶の際に代行を依頼したきっかけや現状をお話しくださる方も多いですから、その中でなぜ、何に困ってご依頼されたのかを考えて、あわよくばというポイントがないか探る、私はコーチングを学んでいたので「意図をもって聴く」というのがたまたま得意で、ここはおおいに役立ったなと思います。単純化していうと「言われたことを聞く」以上に「もっとできることがないか探しながら聞く」という感じ。
コーチングでは相手に具体的に話させる場面が多くあります。ふわっとしたことを深掘りする質問、そこで見つけたことを広げる質問など、種類があるんですね。つかみどころをおさえて質問をすれば、相手は考えて答えてくれるという体験をもっているのはよかったなと思います。
普段の会話でも、意識ひとつで話してもらえることも変わるという実感が私にはあります。
希望を細かく知れれば、それを実現してあげられる可能性も上がりますから、これからサービスを始められる方にはぜひ試していただきたいです。
さて、長くなりましたので、VOL.1 はこのへんにしておきます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
VOL.2 では、より自分のケースに特化して、自分に合うお客さんをどう見つけていったか、他の人と比べて強い部分、特性をどのように発見し、それを伝えていったかなどを書く予定でいます。
よろしければ次回もお付き合いください☺︎
活動一覧はこちらから。
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