写真の粒子とデジタルピクセルの事/今日写講Vol.14
かなり前の21歳になろうとしている冬の記録(約20年前)。
知人を頼ってヨーロッパへ。その知人とは数日で別れ英語も話せないフランス語もデンマーク語もオランダ語も何も話せない僕は街をさまよい続けた時の記録である。
プロローグ
使ったカメラはコンパクトフィルムカメラ。
メンテナンスをしなかった僕は裏蓋か何かについていたゴミを放置していた。
そして撮影したほとんどの写真に一直線の傷を残した。
フィルムに傷を残すだけでなく、
約1ヶ月の旅は心を疲弊させ、
日本に戻ってから写真を撮ることを拒否するようになり、
そこから2年ほど写真とは全く関係の無い世界に身を置く。
その後、浅田政志と再会することで、再度写真に向き合いギャラリーの営業をスタートした。
30歳を目前に福井に戻り数年後写真館を経営をする今に至るのはまた別のお話。
ただ、あの頃から作品は撮れていない。
話をタイトルに戻します
前置きがかなり長くなりました。
今回は「写真の粒子とデジタルピクセルの事」と題しての今日から使える写真講座 Vol.14
なぜ、前置きが長くなったかというと、この掲載した写真を撮ったのが、ほぼ最後のフィルムで作品としての残そうと思った写真だからです。
といっても、特に日の目を見ることはありませんでした。
あためて当時を懐かしみつつデジタルデータ化(スキャンニング)された写真を見ていると「粒子」の味わいが良いなと感じました。
アナログ VS デジタル という話ではありません。
僕なりの違いを言葉で残しておこうと思っています。
フィルム・アナログ写真の粒子
アナログ写真って呼ばれるフィルムで撮って印画紙に残していく写真には細かな粒子を感じることができます。
粒子の濃度や重なり方で明るさや色のグラデーションを表現していて、この粒子の出方、出し方によって視覚から手触を感じる事ができたりします。
ここで粒子ってなんなのかなとミクロの世界に意識を飛ばしてみると、丸みを帯びた点が見えてくる気がします。
あくまでもイメージ(ミクロに飛ばした意識の中)ですが、粒子が丸みを帯びているから、四角い写真の中に余白というか重なり合わない部分に「無」の状態が存在しているような気がしています。
デジタルピクセルの正方形
デジタル写真をパソコン上で際限なく拡大していくと、見えてくるのは正方形。この正方形一つ一つに色がのっていて、隣にあるピクセルとの微細な色の違いでグラデーションを画いている。
そして、正方形がタイル上に並ぶことで写真をつくっていて、何も無い状態がどこにも無い。
余白、無が構成要素のアナログと整列のデジタル
無が構成要素って、、、。
学術的にとかちゃんと勉強している人からすれば矛盾している言葉なんだろうなぁと思うのですが、僕の中の印象です。
とりあえずアナログとデジタルの違いを考えてみた時の僕の答えである。
フィルムをデジタル化した時点でピクセルの集合体
違いを書いたところで、結果フィルムをデジタル化しこうやってWEBにあっぷする時点でピクセルが整列した集合体としての写真になります。
ただ、フィルムで撮った写真は手触り感が残った写真になります。
この手触り感をデジタル編集技術でつくることもできます。
なので、最初の方で書いた「アナログ VS デジタル」という話では無いという事なのです。
ただ違いとして「粒子」と「ピクセル」
デジタル写真で仕事をしていて
福井にもどって仕事として写真を撮るようになってからデジタルカメラを使っています。
学生時代や最初に掲載していたヨーロッパでのスナップ写真を撮っていた頃のピントやブレと今仕事で撮影している写真のピントやブレの違いを体感しています。
もちろん仕事として納品するものに対してアナログもデジタルもピントが合っていてブレていない写真を求められたら、それを納品するのは当たり前なのですが、ボツ写真のブレやピンボケをデジタルで見ると、とても痛々しい気持ちになります。
最初に掲載しているヨーロッパでのスナップ写真の中にはブレてたりピンボケしている写真があるのですが、僕の中では違和感なく見れてしまうのです。
前回のVol.13で書いたピントの話にも通じて、どう見せたいかとか、どう目の前の事実を捉えるかによって変わるのですが、写真というものになったときの印象が違って見えています。
このブレやボケの許容量もアナログとデジタルの違いかもしれません。
最後に経営している店名の話に繋げて
急にですが、私が経営している「Dot.Graph」という福井で営業している写真館の店名の由来
この「Dot.Graph」のDotの部分には大きく二つの意味があります。
まず、一つは今回の記事で書いてきた「粒子」
僕自身が写真を学び始めた20数年前はアナログでモノクロフィルムを使って写真を学びました。
そのモノクロ写真を暗室でプリントした時にフォーカススコープを覗きながらフィルムの構成要素を見ていたときに初めて粒子を感じました。
この時に写真をカタチにするのは「点」であり、それが集まったものだなと思ったことを「Dot」に込めました。
もう一つは、家族の記念を残していく写真館として、人生のターニングポイントの一瞬を「点」と捉えていく写真館になるという意味があります。
多くの家族に訪れる記念日という「点」を人生の節目節目を繋げて画いていくという意味を持たせて画く「Graph」をあわせて造語にしました。
そして、スタジオにお越し頂く一人ひとりが一つの点となり、その点と点がつながり、記念日という点もつなげながら写真を通して幸せを画いていけたら最高だなと思って「Dot.Graph」になりました。
といっても、カメラはデジタルカメラを使っていますがね(^o^)
粒子とデジタルピクセルを上手く使いながら、今まで以上に多くの幸せを提供していければと、今回の記事を書きながら再確認しました。
最後までお読み頂いてありがとうございました。
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