【真実とは】 劇団ノーミーツ 「背信者」
「ミステリと言う勿れ」で、整くんも言っていた。真実は、人の数だけある。視点も人の数だけある。
視点カメラの世界と、劇場で見ている人の世界とでは、見ているものが異なるはずだ。視点カメラだって、カメラによって視線が誘導されているのに、見えている世界は観客一人一人違うと思う。私も2回見て、気づくポイントが違った。
知っておくだけで、何かは変わる。自分は非力だ、と思うたびに、思い返すようにしている。知っていること、知ったことを伝えるだけでも、きっと何かになる、と。
飛びつくことを防ぐことは出来ないけれど、そのうちに自分で気づくのだ。自分が心から欲しいものは、こんな風に簡単に手に入るものでは無かったのだと。そう気付けたら、またやり直すこともできる。そうなると分かっているから、そちらに飛びつかないように抗うこともできる。どちらも、自分が選ぶ道だ。
相手の思い込みや先入観といった認識は消せない。私もそうだし、相手もそう。
相手が私に対して持った先入観を、私が消すことは出来ない。その結果、嫌われたとしても、私にできることは、あまりない。
でも、その認識が薄れたり上書きされたりすることも、きっとある。
人間は、それくらいあやふやな存在だ。
だとしたら、自分が目指すものを見失わないことくらいしか、自分が自分としての誇りを保ち続ける方法は無い。
真理とは何だろう。考えるって何だろう、
その根底には、感じることがあるように思う。
真の背信者とは、自分を裏切った自分のことだ。
自分の感じたこととは違う、誰かの思いを配信するだけの自分は、自分に対する背信者なのだ。
配信最後の日に、駆け込みでもう1回見た。また感じ取ることが違った。それは、先日の傷が疼いたからだ。
そのことを書くのも、これで最後にする。
もう随分、私に背中を向けていた私は、ふりむけているように思うから。
伊藤健太郎さん、とても良かった。
明日も良い日に。
過去のノーミーツ作品で書いたこと。順不同になってしまった… 修正できないごめん。