
【ここにいるよ】 竜とそばかすの姫
来て欲しかったんだ
どれだけの人が、たった一本の手を差し伸べられるのを待っているのだろう。
何かを好きなことが呼吸をするように自然だったのに、それが突然できなくなってしまったら。
才能なんてないかも知れないと思いながらも、胸の中のガラス玉みたいなものをどうしても手放せないことがあったなら。
好きだけじゃやっていけないなんて揶揄されても、それでも両腕の中の好きのかけらを握り締めていたいと叫んだことがあるのなら。
Uの中のベルや、現実世界のすずと共鳴するのではなかろうか。
周りは好き勝手なことを言うし、しかもそれを簡単にひっくり返す。
それを分かっていても、いちいち傷ついてしまうし、おめおめと傷ついてしまった自分を放棄してしまいたくもなる。
それでも、やっぱり、好きを諦めきれない。
そういう子たちを応援したい。
あなたにはあなたの価値がある。
あなたにはあなたという才能がある。
ああ、すずちゃんを陰ながら応援しているコーラス部の人生の先輩たちの世代に、私はもう、なっている。
だから、逐一胸が痛くなっても、それは共感というよりも、大丈夫だから、大丈夫だからと寄り添ってあげたくなる心持ちだ。
最後、すずも気づく。目の前で傷ついている誰かがいたら、理性が働くよりも先に、心が体を動かしてしまうことがあることに。
歌、最高。初めてUで歌うベルの声が本当に震えていて、ヒュンッとした。手を握り締めた。サントラ買わねば。
「サマーウォーズ」も「バケモノの子」も「おおかみこども」も全てがオマージュとして盛り込まれていた。
正直、上記のような「すげーもん見た」感は薄い。
でも、現在進行形で自分の「好き」や自分の「才能」についてもがいている世代や、もがいている若い世代を手もみしながら応援したくなる世代には刺さるのではないかと思う。
あなたを見つけてくれる誰かが必ずいる
本編前、「Dear Evan Hansen」の映画版の予告編が流れた。この作品でも、世界の片隅にいた子が、とある動画をきっかけに世界中に知られることになる作品だった。タイミングが神。
明日も良い日に。
いいなと思ったら応援しよう!
