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【歌舞伎者とは】 劇団☆新感線 「バサラオ」 2回目

狂い桜は一層美しい花を咲かす。美の輪廻だ。その美の真ん中にあるのがこの俺だ

顔面の良さ、という一点突破で執権も帝も倒してのし上がっていく男の物語。生田斗真くんだからこその説得力。彼が演じるヒュウガなら、

キタタカ:ちょっと顔がいいからって
ヒュウガ:ちょっとではない!

(心の声:そうですね)

ヒュウガ:俺は光

(心の声:その通り)

と、単なる客観的事実の羅列になっていく。これぞ顔面偏差値のなせる技。

なにしろ冒頭の神降臨としか表現できない登場で、思わず手を合わせて拝みたくなる。神様仏様、生田斗真様をどうもありがとう。

キメ顔は逐一正面だし、なんならほぼ全てがセンターだし。どんだけサービスしてくれるのよ、その顔面をよ。

衣装もひらりひらりと豪華絢爛。美しい。この世のものとは思えない。

そしてもう1人のイケメン、中村倫也さん。胸に一物どころか二物も三物もある役が最高です。殺意を見せたり見せなかったり、バレた殺意が作為の殺意だったり、作為だと見せたことが作為だったり、追いつこうとするこちらの情緒が大変です。

時代錯誤なお衣装が何の違和感もなく受け入れられるのは、ひたすらこの人の存在感のなせる技。

そしてこの2人、殺陣もすごいのです。

前回の早乙女兄弟をフィーチャーした『天號星』は、ひたすら2人の空前絶後なスピードの殺陣の連続でしたが(眼福でした)、今回の戦いは南北朝という時代性もあって「合戦」がメイン。その中で彼ら2人(と河原さん)の殺陣も、アンサンブルの皆さんの身体能力も、思う存分堪能することができました。

島流しにされた隠岐島から脱出する後醍醐天皇やら、鎌倉幕府の執権やら、「鎌倉殿の13人」に連なる史実もちらほら。ってか古田新太さんの役所は、「鎌倉殿の13人」やん!オタク脳が見せた幻覚と言われてもいいけれど。

-なるほど、それも一理ある。
-違うな。これは、道理だ。

中島かずきさんの言葉遊びも、どんでん返しの分量も健在です。こんなギリギリラストまでどんでん返すの?ってなるので、これから見にいく方は、是非とも最後の最後まで気を緩めませぬように。

今回のお席は、明治座の3階ドセンでした。確かに客席降りは見えないけれど(ピンスポで人がいることは分かる)、その分、舞台全体がとても綺麗に見えました。

何より驚いたのは、フォーメーションの美しさ!バサラの舞のアンサンブルの皆さんの斜めラインの美しいこと!!!!プリンシパル5人のフォーメーションのパリッとキリッとしていること!(Xがとても綺麗でした)

そして狂い桜の全体像の圧倒的な存在感!

これは、上の階から引きで見た方が美しい。

他にも、りょうさん演じるサキド様がお座りになっている時の、背後に広がる豪華絢爛なお衣装の模様は、上からでないと全体が見えない。孔雀の羽根のような美しさなのですよ。

顔だけで生きるカブキ者の物語なのだから、最後もしんみりとした伝聞の物語にはなりません。誰にもバサラを易々と語らせはしない。歌舞伎者は、かぶいて終わるもの。そんなラストに改めて声が出ました。

観劇したのは、なんと台風の日。当日まで公演やるのか、と友人とドキドキしながらの明治座でした。

アンコールの最後に斗真君が仰った「外は雨も風も強いらしいです。皆さん、お家に帰るまでがバサラオですよ」というメッセージを抱えての帰路でした。小雨でした。ありがたやありがたや。

前回の感想はこちら。

劇団☆新感線の他の感想は、前回のエントリーの下にありますので、ご興味あればそちらも是非に。

明日も良い日に。


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いしまるゆき
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