キネマと恋人
続く現実を生きていくために、映画やお芝居は必要なの。
例えば信じられないような罵声を浴びせられたり
愕然とするようなミスをしてしまったり
生活の中にはたくさんたくさん、しんどいことがある。
でも、映画館に入っている間だけは、全てを忘れられたりする。
カタカタカタカタ、という音とともに銀幕の世界に入り込める。
その中の人物に恋をしたり、笑わせられたりして、心が少し軽くなる。
クレジットまで流れて電気が点くと、映画館に入る前よりも少しだけ心が軽くなっていたりする。
エンタテインメントって、魔法だ。しかも、誰でもかかることができるんだ。
あちら側の世界では、ヒーローは必ず勝利したり、七面倒くさい心のひだひだとか、溜まっていく洗濯物とか、社会が目を背けがちな娼婦街とかを気にしなくてもよかったりするけれど、現実の世界ではそうはいかない。
だからこそ、光の向こうの世界が救いになる。
幕切れにびっくりした。このまま本当にあったおとぎ話的なフィナーレで終わるのかと思ったら、もっと現実的で、ビタースィートと言うには苦すぎるくらい、ほろ苦かった。
それでも、映画が始まれば、やっぱり笑顔は戻るんだ。
プロジェクション、相変わらず果てしなく素晴らしかった。
俳優さんらが動かす大道具も、振り付けの一環。人も、ものも、音楽も、映像も、全てが踊る。ただの茶色い木製の椅子にも、魔法がかかる。ディズニーの「魔法使いの弟子」みたいに。
でも、実はこの魔法は、銀幕のこちら側にもあるんだよね。今日だって、雲が泳いでる。風はいつも新しい音楽を奏でてる。
好きなものがあるって、本当に素晴らしいなあ。
ありがとさん
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