359/366 シス・カンパニー公演 「23階の笑い」
喜劇作家ニール・サイモンの自伝的作品。演出三谷幸喜さん。ニール・サイモンが書いたコメディ・チームの物語「サンシャインボーイズ」は、三谷さんの劇団の名前の由来になっている... はず。
1950年代にアメリカテレビ界で一世を風靡したコメディアン、マックス(小手伸也さん!)と、彼の下に集う放送作家チームの物語。
放送局の上層部との軋轢や周りのプレッシャーを和らげるため、ドラッグやお酒に溺れつつも、コメディアンとしての自分を絶対に失わないマックスの一挙手一投足が最高!ちょっとした動きだけで思わずプププってなるのです。
舞台裏で色んな闇やら影やらを抱えていることを滲ませつつも、皆んなの前ではずーっとスポットライトを意識しているマックスが愛おしくて心配になって、それでも笑ってしまう。コメディアンの闇って、本当に深い。
彼の笑いに憧れて、毎日ニューヨークのど真ん中にある、とあるビルの23階のオフィスに集う才気あふれる変人放送作家たちの弾むような会話も素敵。毒々しいし、攻撃的だし、歯に衣着せない物言いだけれど、毒から生まれる笑いはなぜかとても清々しい。変な裏が無いからだろう。
政治をよくコメディやコントの題材として扱っていたという設定の、更に背後に蠢く「マッカーシーの赤狩り」時代。彼らもきっと、何がしか標的にされていたであろう。それをうっすらと感じさせつつも、日常としての彼らはひたすらに「オモシロ」を追求していく。いつの時代でも、笑いを忘れた魂はあっという間にカピカピになってしまう。先日M1を見ていた時も思ったことだった。
ポンポンポンポン弾むように進む応酬と、変な動きの連続にクスクス、がはがは笑っていたのに、劇場を出た時の感想は、「あー、面白かった!でも細かいところは覚えていないや」だった。
上質のコメディって、こういうものかも知れない。
明日も良い日に。