【我が怪物とは】 映画 「怪物」
わたしたちは、自分が見たい現実を、見たいように、見る。
だから、真実は人の数だけある。整くん、あなたは正しい。そしてその真実を、それぞれが唯一の事実だと思い込む。
皆が自分の見たことが「客観的事実」だと思っている。そしてそれに基づいて行動していく。悪意もなく。
人にはいとも容易くバイアスがかかる仕込みを前半で盛大にかましておいて、そこからの巻き返しがエグい。
ほーら、貴方もこれが真実だと思ったでしょ?カメラが常に客観的事実を捉えていると思ったら、大間違いだ。人の目だろうが、カメラの目だろうが、そこには常にある一定のバイアスがかかっているのだ。
誰の中にも怪物が大なり小なり巣食っていて、今この瞬間のわたしも例外では無い。
皆、何がしかの痛みや傷みや悼みを抱えていて、それへの対処の仕方も千差万別。死んだふりをしたり、物に当たったり、酒に逃げたり、死んだ魚のような目になったり、見て見ぬふりをしたり。
目を逸らしたくなるものがあったとしたら、それこそ自分の中の怪物に近いものなのだろう。
こう告白されて、何も言わない田中裕子さん演じる校長先生に鳥肌。いや、全体通して、校長先生に鳥肌。
次点は、自分のことを「暴力教師だ」と書いてある記事で誤植見つけてニヤッて笑う先生。ああ、自己防衛なんだ、と思ってゾワゾワした。
ラストシーン、日の光に包まれて走る彼らの姿は、生まれ変わったのでは無い、と思いたい。そうでないと私が辛い。そう、ここまで来ても尚、私は私の中の怪物と対峙できずにいるのだ。
余談だけれど、予告編の中に、「The First Slam Dunk」の「上映終了予告」が流れた。「終了予告」なんて初めて見たw
8月末かあ… あっという間やん。
明日も良い日に。
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