【夢を描くとは】 星組公演 『記憶にございません!』 『Tiara Azul - Destino』
「政界コメディ」の謳い文句通り、政治のネガティブな部分をことごとく笑いに変え、それでも最後には希望を残す舞台でした。#選挙行ったぜ
なんせ冒頭、「廃墟になった温泉街、増える税負担、足りない保育園」みたいな国民の不安を大合唱しているかと思えば、「田原坂46」なるアイドル集団が「選挙へ行こう!」ソングを歌い踊る!なんてタイムリー!
様々な立場の市井の人々がそれぞれの思いや鬱憤を歌い上げ、その群衆を大人数のSPが牽制している。何かを企んでいそうな古郡の姿もその中にある。宝塚ならではの、絶対的なボリューム感!オタオタと走って逃げる総理の後を追って、銀橋を駆け抜けていくSPのわらわら感は、あの人数がいるからこそ可能な表現だと思う。
その中で何度も繰り返される黒田総理の「記憶にございません」答弁。
街頭演説中に投石をくらい、本当に「記憶喪失になった」後、政権に戻った総理を出迎えるのは、やれ英語ができない外務大臣だの、「海の藻屑」を「海のもずく」と言い間違えて遺族の神経を逆撫でする大臣だのを揶揄したダメダメ内閣ソング。
大階段を使った内閣勢揃いの図も、現実世界の組閣写真と恐ろしいくらいマッチしている。こんな風に大階段を使うとは!変な声が出た。現実世界と虚構の世界は、こんな風に交差する。
って、支持率2%台って、何それ深夜番組の視聴率?!w
更には、総理夫妻のダブル不倫ソング!
私とあなたが〜連立合併〜♪
ダブル不倫すら美しく歌い踊りあげる2組の不倫カップル!しかもどちらも女性がかなりの攻め姿勢!タジタジな総理と秘書官!え、宝塚ってこういうのアリなのね!!!
それでも総理は記憶喪失を「やり直す」きっかけと捉え、前向きにクリーンな政治を目指していく。人はやり直すことができるのだ。そう決めさえすれば。
終盤、記憶を失くした総理に「インドで自転車直してくれたのを忘れたの?」「生き埋めにされたのは?」等々、トップ娘役の舞空さんがこれまで一緒に紡いだ作品を列挙していく姿に脚本の愛を感じる。しかもその答えが「覚えてるよ」。フルフル。
そこからのTiara Azul ~Destino。
聡子の「タンゴチャンネル」とも繋がる、アルゼンチンのお話!
色んな思いが詰まった歌詞に、再度心がフルフル。明るい恋愛物語なのに涙腺が緩みそうになる。
こんなに大人数なのに、フォーメーションが美しくて正確なの本当に凄い。熱い。南米のダンスって熱の中にある種の冷たさがあるけれど、宝塚のアルゼンチンも、熱さの中にクールさが共存していた。熱x熱とならないのは、自然界の摂理でもあるのかも知れない。夏野菜は火照りを冷ます的な… 違うか。
そして…やっぱり生オケは良いなあ。
明日も良い日に。