【私たちの物語とは】ミュージカル 「マチルダ」
5歳児に、喝を入れられた。
ロミオもジュリエットも含めた悲劇の主人公らは、自分たちの悲劇を受け入れて、悲劇的な末路を辿る。
じゃ、私たちの物語は決まっているの?決まっているとしたら、それを決めているのは、一体誰?
良い子でいなくていい。従順なままで全てを受け入れなくていい。だって、正しくないことは、正しくないんだから。
その姿勢だけで、開ける道はある。
時間を手懐けることはできなくても、時間と共存することは出来るし、抗うことだってできる。
パパママにどんなに邪険にされても、子どもは、パパママが大好きだ。そして、パパママ側も、きっと心の奥底では、子どもたちを愛している。それでも尚、子どもに意地悪をしてしまう理由がある、こともあるのかも知れない。
トランチブル校長にも同じことが言える。一生懸命ルールに則り、大会で優勝しても、なかなか両親に愛されない。本当は、それが何より欲しかったものなのに。それで、妹に嫉妬してしまった小さなアガサが、脳裏に流れた。
確かにトランチブルも、マチルダの両親も、子どもの扱いは酷い。悪役なのは間違いない。でも、今目の前で起きている光景の遥か昔に、実は何かがあったのかも、と思えた。結果、登場人物の誰も、嫌いになれなかった。みんな何か過去に傷を負って、今の姿があると思えたから。
1幕の「アルファベットの歌」とか、2幕のトランチブル先生の歌とか、訳詞も素敵だった。英語の言葉遊びが、かっちり別の言語に入れ込まれていると、それだけで感動する。
前日まで知らなかったのだが、最後、「ミセス・ワームウッドの部屋」と称した、トークショーまである回だった。お相手は、小野田トランチブルと、咲妃ミスハニー。大夢さんの某トークショーの有名すぎるハミングから、あっという間の20分だった。
ロアルド・ダールは、日本ではあまり知られていない。だから、これが日本で上演されることなど無いだろう、と思っていた。
それが、実現した。ロンドンでしか見られないと思っていたブランコのシーンも見られた。これでロアルド・ダールの知名度も上がることを願う。
明日も良い日に。