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【リーマン兄弟の栄枯盛衰とは】 NTLive 「リーマン・トリロジー」
消費が呼吸と同義になれば、銀行は呼吸と同義になる
リーマンショックから10年以上が経過した。
まだ記憶には新しいけれど、あの頃の生々しさはもう消えている。
あの時何があったかを反芻する機会もあったけれど、リーマン兄弟がどのような経緯でアメリカに一大金融王国を築き上げたかを知る人は少ないのではないだろうか。
これは、ドイツから夢を追いかけてアメリカに渡ったリーマン3代の栄枯盛衰の物語だ。
南北戦争前のアラバマを中心とした綿花の仲介業から身を興した兄弟は、ニューヨークの綿取引所に進出。
時代と共に取引所から実物は消え、言葉だけで取引が成立するようになる。
ニューヨークは言葉に酔っているようだ
南北戦争を乗り越え、綿花以外の商品取引に拡大し、世界大戦時には武器を取り扱い、重工業にも手を出し、時流を読んでグングン成長していくリーマンブラザース社。
パン屋にとっての小麦が、我々には金なのだ。
金が金を産む仕組みは膨れ上がり、バベルの塔は天をも貫いていく。どこまで?崩れてしまうまで。
3人の役者が、3代に渡る兄弟とその家族、さらには周辺の人物までを演じ分けていく。それぞれ何人分を演じているのか、数すらもはや分からない。
特に、長兄を演じたサイモン・ラッセル・ビールの女性と子どもの演じ分けが凄まじい。冒頭のリンク先にインタビューもあるけれど、初老のおっさんなのだ(ごめん)。
なのにその彼が、でっぷりとしたギリシャ人のダイナーの主をやっていたかと思えば、次の瞬間にはお目目クリクリの可愛いメイドさんになっており、さらにはちょっと子生意気で頭でっかちな子どもになる。
しかもカリカチュアされているわけでは、一切ない。
回転し続ける檻のような舞台の中で、リーマン一族の150年が経過していく。
所詮は我々も、大小の差こそあれ、檻の中でくるくると動き回っているだけなのだろうか。
それを極東では「釈迦の掌」と呼ぶのだろう。
この檻がシンプルであるが故に背景のプロジェクションとうまく溶け込んで、美しかった。
上下とも、宇宙に囲まれている感覚になるウユニ湖のような夕暮れが表現されているかと思えば、ガラス張りの金融街から臨む、マトリックスのような世界観を纏う高層ビル群にもなる。
その中で、一家は金というゼロをどんどんと膨れ上がらせていく。3つだったゼロは、やがて6つになり、瞬く間に9つになる。
リアルアメリカンドリームを駆け抜け、あっという間に崩落する。そこまでを含めての、現実のアメリカンドリームだ。
南北戦争も、世界大戦も、ブラックサーズデーも、全てを乗り切ったからこそ、政府は破産前に週末の猶予を与えたのか。
3人の役者(とピアノの旋律)しか無かったことが、未だに信じられない。
トレーラーだけでもマトリックス感は伝わるはず。
スケジュールは、こちら。
明日も良い日に。
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