あん餅雑煮〜砂糖鎖国の副産物と経済学〜
我が家の雑煮
皆様の家のおうちの雑煮はいかがでしょうか
私の家は
かつお出汁
醤油ベース(要するにすまし汁)
具は白菜・人参・大根
餅は丸餅(焼いていない)
でした。
今年はまだ食べてません。
お雑煮ランキング
先日記事が出てましたこちら。
なんと全国3位!(笑)
隣県の私もまだ手を出してないと言うのに🤣
私は愛媛県の東予在住。
父は東予民、母は西讃出身という中で母は嫁ぎ先の雑煮を作っていた。ということになります。
なお、母があん餅雑煮を食べていたかは知りません。
ということで今日はあん餅雑煮についてです。
砂糖王国だった香川
この高松経済新聞の記事が詳しいです。
江戸時代の香川は高松・丸亀・多度津の3藩に分かれていた。
あくまで高松藩の話です。
かもねさんの記事が詳しいのでざっくり。
当時の高松は砂糖きびから白砂糖の精製に成功し、日本唯一であり、海外産より安い。
貴重な藩の財政を潤すものだった。
しかし、九州砂糖などが入ってきて、砂糖の価格の低下。
そこで高松藩は、砂糖の輸入を禁止。
供給はない、需要はあるで高松藩の庶民は砂糖が高嶺の花となる。
正月くらいは甘いものを食べたいとあん餅を作る。
ふむ、なるほど。
わかったような。よくわからんような。
なぜ、白味噌雑煮に入れた?
砂糖が手に入らない。
正月くらい甘いものを食べたい。
うん。そこまではわかった。
ではなぜ、白味噌に合わせた?
しょっぱさが甘さの引き立て役となったのか
香川は日本三大白味噌の産地
香川の白味噌は米味噌です。
塩分濃度5%、麹25%とリッチな分類になるのだとか。
この甘めの味噌が、あん餅にマッチ!したのかと思いきやこの白味噌が作られ出したのは太平洋戦争後のことらしい。
なので当初(江戸時代)は白味噌雑煮に入れていたわけではないようだ。
人は窮乏すればアイデアが出るのかな?
といいながら贅沢な分類になるので余るくらい米や大豆が取れていたのかな。
ちなみに私の地元愛媛県は麦味噌が主です。
高松藩の政策の謎
全国シェアトップ、江戸や京都の老舗とコネクトあり
こんな強みの中でライバルが参入。九州等南国の砂糖である。
当然価格は下がる。(需要は一定、供給が増大)
価格としては九州産 < 高松産 < 海外産
ここで考えられる政策はいくつか
①老舗向け、庶民向けとレベルを変えて売り出す。
②浦賀源内風にキャッチコピーで売り出す。
品質の違い(当時は証明できないだろうが)や製法
③輸送コストを下げる。(なんなら大阪・京都限定にして価値を上げる)
④加工品を販売する。(付加価値)
京都の菓子作りに貢献していたとうことはおそらく朝廷に献上される菓子にも使われていたと思われる。
その辺りを庶民に訴える術はなかったか。
江戸時代は勘違いされがちだが、非常に豊かで伊勢参り、金毘羅参りが流行っていた。
そこを上手に使う手もあったのではないか。
金毘羅参りの帰りの船で砂糖を運んでもらうなど。
ちなみに江戸時代まで人々は伊勢神宮の祀神が天照大神だとは知りません。
朝廷もお金がなく遷宮(20年に1度の改修)もできずに100年経過したこともあった(応仁の乱頃〜秀吉の援助でなされるまで)。
そんな時に全国にお伊勢参りはいいよ!と宣伝して回った人たちがいた。
その人が、神話を伝え、伊勢神宮の権威を高め、人々を伊勢に導いた。
それが今日につながっている。
本題に戻る。
高松藩の経済政策である。
なぜ「砂糖を輸入禁止にした?」
理由を推測する。
❶高松藩内の砂糖メーカーを守るため。
これは間違いない。
全国で値が下がって、供給も減る。
その減った供給を藩内で処理しようとしたからではないか。
⇨結果、高松藩の庶民は砂糖が高嶺の花となった。(競争相手がいない、売り手の言い値)
高松藩内 供給 <<< 需要
❷他藩の砂糖のシェアを少しでも下げるため
高松藩の人口ってそんなシェアに関わるほど大きかったのか
砂糖鎖国による副産物
結果として砂糖鎖国をして生まれたもの
・独自の和菓子(おそらくおいり等)
・和三盆(守られた)
・あん餅雑煮
となる。
現在でも和三盆を用いた色々な和菓子が豊富なのが香川の魅力だ。
経済の知識
おそらくですが、高松藩の政策は経済学的に言えばデタラメ。
しかし、藩の主要産業を守るという意味では正解でしょう。
何が正解だったのか。
こればかりはタラレバです。
安い九州産を受け入れつつ、和三盆は高値で売り続ける。というのも一つだったかもしれません。
今日でも、愛媛県はキウイの生産が日本一ですが、私はスーパーで見たことがありません。
ほとんどNZ産。時々香川産(おそらく三木町)。
日本人の給料が上がらない理由
この砂糖の例でもわかる通り、需要と供給で価格は決まります。
人の給料も同じ。
上がらない理由として
Ⅰ.企業が上げる気がない
Ⅱ.日本国内の労働人口は減っているが、世界で見たら増えている。
グローバル社会の今、労働者の供給は日に日に増えていってます。
要するに給料が下がる方向に行きやすいのは間違いない。
ではなぜ欧米は賃金が上がるのか。
経済成長しているからでしょう。
但し、欧米も経済成長率は頭打ち。
伸びしろはもうないに等しい。
そんな中で成長率以上の賃金アップは恐ろしさすら感じます。
そんな中でインドや東南アジアが台頭してくる。
今後どういった形になるのか。
未来を見通す目が必要となります。
ちなみに明日辺り、あん餅雑煮うどんを食べに行こうと思ってます。
結局、なんで白味噌に入れたんでしょうね。