ドラゴンボールごっこ詩篇
息子は現在6歳。この春から小学生になります。
我が家で一世を風靡した「怪獣人形を使ったごっこ遊び」を題材にして、以前「怪獣詩集」というシリーズを書いていました。
怪獣人形の写真を撮るタイミングがうまく取れなくて滞っているうちに、息子の遊び熱はドラゴンボールごっこへと変わってしまいました。
現在「ドラゴンボール超」を少しずつ見ていますが、それ以前のドラゴンボールについては、YouTubeなどで得た知識しか息子にはありません。私はジャンプ黄金時代に小~中学生を過ごしていたので、ストーリーは頭に入っています。文字を覚えるのにもいいかと思い、各キャラクターの画像を印刷して、和室の壁に貼っています。
私の3週間の入院中、電話で息子は「早く帰ってきて! ドラゴンボールごっこやるよ!」「あれとあれも印刷して!」などと言っていました。入院前は息子の前で私が様々なドラゴンボールのキャラクターを演じることが多かったのですが、退院後は、息子自身が様々な演技を見せてくれるようになっていました。妻と娘いわく「大変だったんだよ」とのこと。遊び方もルールもその都度変わります。各キャラクターの性格も妻たちは把握していませんでした。
「怪獣詩集」の時と同じく、一時的でしかないかもしれないけれど、こういった遊び方をしていた時期があったんだよ、という記録のために、詩の形で残しておきます。雰囲気的には谷川俊太郎「夜のミッキーマウス」をご想像してください。
「ブロリーごっこ」
息子の演じるブロリーが
船の床板を踏み破る
歩く度に踏み破り
その都度引き抜く
天井に頭をぶつける
しゃがめ、と私は言う
そっと歩け、と私は頼む
息子の演じるブロリーは
山盛りの食物を食べて
さらに大きくなっていく
踏み抜き、引き抜き、ぶつけ続ける
「桃白白ごっこ」
自身で抜いた柱を
高速で放り投げて
そこに飛び乗って移動する
タオパイパイについて
私は息子に説明したかった
鶴仙人の弟で
悟空にも勝ったことがあるのだと
しかし息子は
タオパイパイ、という名前を
聞いただけで笑い出してしまった
パイパイ
パイパイ
と
話が進まなくなってしまった
だからまだタオパイパイは
柱を放り投げられずにいる
「フリーザ一家禁則事項」
フリーザと
父コルドと
兄クウラが
集まっている所に
トランクスを近づけてはいけません
ましてや刀はいけません
怯える父と弟を
クウラは不思議そうに見つめながら
最終形態になってしまいます
くれぐれもトランクスを
一家に近づけないでください
「ミスターサタンについて」
傷ついたバーダックの横に
印刷したミスターサタンについて
私は熱く語る
魔人ブウを倒す元気玉に
世界中の人たちの力を集められたのは
サタンのおかげだったのだと
ベジータの頼みでは僅かな気しか集まらなかった
悟空の声でも多くには届かなかった
空も飛べず気も操れないサタンだが
格闘技世界チャンピオンの名声は本物だった
「じゃあパパがそのもじゃもじゃの人やって!」
息子のリクエストに「サタンだって」と答える
やがてサタンの屋敷の入り口は
息子の演じるブロリーに破壊された
悟空やベジータに助けを求めるサタンの前で
哀れなヤムチャたちは次々と踏み潰されていった
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