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耳鳴り潰し188(運動会、人の感慨と時間の流れ、メイドラゴンにフラウ登場)

 天気予報が微妙な運動会当日。朝7時に「本日は雨プログラムで実施します」との連絡が来る。団体演技を前に詰めて、徒競走を後回しにしたもの。元々団体演技、応援合戦、徒競走しかない午前までのプログラム。

 子どもたちを送り出してから、開門時間に合わせて妻と二人で学校へと向かう。何か違和感があるなと思ったら、去年までは娘の運動会に行く際には、必ず息子も一緒についていっていたわけだ。今年からは息子も小学生になったので、娘の出番待ちの間、退屈そうにしている息子は、もういないのだ。思えば去年まではそういう時の時間つぶしのために、ミニカーを持っていっていた。砂の上で走らせて傷ついても構わない系の、使い古したものや、砂を乗せるためのダンプカーなどを選んでいた。
 
 あれらのことはもう過去になってしまった。息子はもう出かける時にミニカーを持っていかない。

 四年前、娘が小学二年生の頃の運動会について書いた話がある。今は読めない「音楽小説集」の中の一編「It's My Life」より。後でメンバーシップ様向けの記事として全文貼ろう。

 娘の通う市立マッドカプセルマーケッツ小学校の運動会に行ってきた。コロナ禍の中、午前中で終わりの短縮プログラム、保護者観覧は二名のみ(就学前の子供を連れて行くのは可能)というものだった。運動好きではない(というより、競争だとか、皆と同じ動きをしなければならない、というのが理解できないのだろう。私に似て)娘のココは「九月に戻ればいいのに」とぼやいていた。そうすれば運動会本番を永遠に迎えなくていい、という事だろう。そうなると今度は運動会に向けての練習をいつまでもしなければならなくなるが。

泥辺五郎「音楽小説集」内「It's My Life」より

 あれからもう四年も経っている。運動会が始まり、開会の挨拶やら体操の時は、息子は他の人の陰になったりして私たちからは時々しか見えなかった。娘は見えているが、やる気のなさがはっきりと表れていた。プログラムは六年生の団体演技から始まった。一年生から五年生までの団体演技を振り返る、という流れもあり、十分以上の長いものであった。帰ってからやる気のなさの原因を聞いたところ「鼻炎がまだ続いているって言ってるのに、マスク外せって言われたから」とのこと。演技中の熱中症対策かもしれないが。

 続いて一年生の演技なので、息子の出番。開始位置についた時は不安そうにあたりをきょろきょろと見渡していた。私たちの姿を発見すると笑顔になり、手を振ってくれた。息子のすぐ後ろにはカナちゃんがいて、ずっと傍で演技をしていた。運動は得意ではない息子だが、ダンスは幼稚園の時よりも楽しそうに踊っていた。

 カナちゃんのご両親とも挨拶する。弟君も随分大きくなっている。

 その後は各学年の演技を観ている最中、雨が降ったりやんだり。「強い雨が降る予報ではないので続行します」とのアナウンス。妻に、この間息子に二本目の水筒を届けた時の話をする。「けんちゃんがこっちに気付いた時『なんでパパがいるの?』と不審者を見る目つきになっていた」というところで妻の笑いのツボにはまり、爆笑し続けていた。
 児童席には入れないので遠目に見ると、上着についたフードを深く被った娘がラッパーみたいになっていた。

 雨脚が強くなる予報が出たようで、団体演技と応援合戦が終わった時点でプログラムは終了。残りの徒競走は後日、参観形式で行われることとなる。残りの時間は昼まで授業、という変則形態。
 息子の分のタオルはあるが、雨や汗で濡れているだろうと思い、私が持っていたタオルを息子に届けに行く。教室の近くのトイレから出てきた息子に声をかけると「あ、そういうのいいですから」という顔で断られた。また妻が笑い転げていた。

 夕飯時「小林さんちのメイドラゴン」を観る。始まる前「思えば、『銀魂』を観て、クール先生原作のアニメを観るなんて、不思議だなと感じる。十五年以上前に触れていた作品や作家さんたちが、今と繋がっている。その頃には存在しなかった子どもたちと一緒に観ている」といった感慨に襲われた。すると、コミケ会場を舞台にした話の中に、モブ役で「フラウ(クール教信者作『ピーチボーイリバーサイド』に登場する、兎人のキャラ)」を発見し、思わず声をあげる。
「パパどうしたん?」と娘に聞かれた。
「ピーチボーイリバーサイドに出てくるキャラが」娘にはこの間「メイドラゴンの原作者はね」云々の話をしてあった。

 そういえば運動会には、部活の格好で来ている中学生たちもいた。娘も来年はそちら側に回る。中年の感慨など気にせずに、時間は進み続けている。


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